
旅の締めくくりにラーメンを食べることが多い。ラーメンには、それまでの旅路を総括する力がある。2024年7月18日。北海道立近代美術館で「鳥獣戯画展」を観た。想像以上の混雑に揉まれ、体力を削られながら、灼熱の太陽の下、歩いて30分。目指すは、かねてより憧れていた 「らーめん信玄」。10年ほど前、GReeeeNのHIDEがブログで紹介していた店だ。

16時22分。店の前には1人の客が並んでいる。扉を開けると、冷気が一気に押し寄せた。冷房がガンガンに効いた店内。生き返るような涼しさ。店員は4人。全員20代。L字カウンター 13席のみの店内は、次々と客で埋まっていく。松任谷由実の 『守ってあげたい』 が流れていた。

6種類のラーメンの中から、最もスタンダードな 「信州味噌」(950円)を注文。餃子やライスのセットメニューは、あっさり塩の「土佐」のみ。最初のひと口をすすった瞬間、後悔がよぎる。「やっぱり辛味噌の越後にすればよかった」。どこか物足りない気がした。しかし、もう一口。もう一口。箸を進めるうちに、味噌の深みがじわりと広がっていく。甘い信州味噌が、まろやかで上品なスープに溶け込み、疲れた身体をじんわりと包み込む。まさに、「守ってあげたい味」
ふと、記憶の奥から蘇る。信州の雪山。八ヶ岳の登山を終え、冷え切った身体で食べた味噌ラーメン。あのときも信州味噌。北海道が、あの時の温もりを思い出させてくれる。懐かしさと、未来への前進。これで札幌に悔いはない。
- 住所:北海道札幌市中央区南六条西8
- 営業:11:00 - 01:00
- 席数:13席
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『月とクレープ。』に寄せられたコメント
美味しいご飯を食べるとお腹だけではなく心も満たされる。幸せな気持ちで心をいっぱいにしてくれる、そんな作品。
過去を振り返って嬉しかったとき、辛かったときを思い出すと、そこには一生忘れられない「食」の思い出があることがある。著者にとってのそんな瞬間を切り取った本作は、自分の中に眠っていた「食」の記憶も思い出させてくれる。