食いだおれ白書

世界を食いだおれる。世界のグルメを紹介します。孤高のグルメです。

「乾燥させたタンスライス」〜味を掘るつまみ、焼肉でもジャーキーでもない酒泥棒

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  • 価格:213円(税込)
  • ジャンル:豚舌加工品
  • 製造:伊藤ハム米久ホールディングス
  • カロリー:99kcal

セブンイレブンで働く、リアル・コンビニ人間が紹介する至高の逸品がある。

「乾燥させたタンスライス」

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セブンプレミアムが誇る「乾燥させた加工食品」シリーズから、ついにタンが登場した。あの焼肉でロース、カルビと並ぶ三種の神器。個人的には、ハラミ、ミノ、ロースだが、それはさておき、タンである。

ただし、牛タンではない。豚タンである。焼肉屋のスター感で押してこない。もっと気軽で、もっと庶民的で、もっとコンビニの棚にふさわしい。213円(税込)で買える豚舌加工品。カロリーは99kcal。おつまみとして、かなり優秀な数字である。

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歯ごたえのある豚タンを、つまみやすくスライスして乾燥させた商品。袋を開けるだけで、すぐ食べられる。火もいらない。皿もいらない。箸すらなくてもいける。完全に、酒の横に置かれるために生まれてきた存在である。

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淡い赤から濃い赤へ、肉の色がグラデーションになっている。薄くスライスされたタンは、花びらのようにも見えるし、小さな革ジャンの切れ端のようにも見える。乾燥しているので表面は少しマットで、粉をまとったような質感がある。生々しさはない。むしろ、噛む前から「これは旨味が凝縮されているぞ」と語りかけてくる佇まい。青い皿に盛ると、赤みが映えて、急にバーのおつまみになる。

味は、焼肉のタンとは別物。焼肉屋でレモンを搾って食べるタンを想像すると、少し違う。ビーフジャーキーでもない。サラミでもない。もっと甘い。もっとやわらかく舌に残る。心地よい塩味があり、そこに燻製のようなコクがしっかり乗ってくる。

遠慮していない。しっかり前に出てくる。だが、うるさくはない。肉の甘みを押しつぶさず、むしろ後ろから照明を当てるように、豚タンの旨みを浮かび上がらせる。噛むほどに味が出る。最初は塩気、次に燻製感、最後に肉の甘み。時間差で波が来る。

そして、食感。タンらしい歯ごたえがある。やわらかすぎない。すぐ消えない。ちゃんと噛ませてくる。だが、硬すぎて疲れるほどではない。ひと噛みごとに、じわじわ旨味が出てくる。これは「食べる」というより、「味を掘る」に近い。

セブンイレブンの棚で見つけたら、ひとつ買っておいて損はない。

焼肉ではない。ジャーキーでもない。サラミでもない。豚タンを乾燥させることで生まれた、213円の小さな肉の快楽。これは、おつまみ界の伏兵である。

食の憶い出を綴ったエッセイを出版しました!

月とクレープ。

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『月とクレープ。』に寄せられたコメント

美味しいご飯を食べるとお腹だけではなく心も満たされる。幸せな気持ちで心をいっぱいにしてくれる、そんな作品。

過去を振り返って嬉しかったとき、辛かったときを思い出すと、そこには一生忘れられない「食」の思い出があることがある。著者にとってのそんな瞬間を切り取った本作は、自分の中に眠っていた「食」の記憶も思い出させてくれる。

「日清焼そばU.F.O.」〜ソースで地球を抱擁する円盤、濃い、派手、屋台を超えた屋台

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「正義」という言葉が、これほど似合う食べ物はない。屋台を超えた屋台の焼きそば。それが「日清焼そばU.F.O.」である。我々は「UFO焼きそば」と呼ぶ。

三輪そうめんの製造業を営む家に生まれた。幼少期は極端に好き嫌いが激しく、大学生になるまで、ほぼ麺と肉類しか食べられなかった。母が作ってくれた手料理の憶い出は、正直あまりない。その代わり、テーブルの上にはいつも、日清さんのチキンラーメン、どん兵衛、そして「日清焼そばU.F.O.」があった。

三輪そうめん、ラーメン、うどん、焼きそば。

麺類の英才教育を、自主的に受けて育ったようなもの。だから麺に関しては、誰よりもうるさい。いや、うるさいというより、面倒くさい。

新宿・歌舞伎町にある「焼きそば かぶきち」は、飲食店として日本一だと思っている。焼きそばという料理の限界値を叩き出している。

それでも、「日清焼そばU.F.O.」を超える焼きそばには出逢っていない。

「日清焼そばU.F.O.」の歴史

初代「日清焼そばU.F.O.」

日清焼そばU.F.O.が産声を上げたのは、1976年5月21日。

直径18.0cm、高さ約4.8cm。日本初の皿型カップ麺が生まれた。「どん兵衛」より3ヶ月早い発売である。どん兵衛より先に、U.F.O.は飛んでいた。

商品名の「U.F.O.」は、未確認飛行物体のことではない。「うまい」のU、「太い」のF、「大きい」のO。つまり、うまい、太い、大きい。名前からして、食欲にしか興味がない。宇宙の神秘ではなく、麺の快楽である。

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焼きそばにキャベツを使うという発想は、当時のカップ焼きそばにはなかった。これが業界初の試み。カップの中にキャベツを入れる。いまでは当たり前に見えるが、最初にやった人はかなり攻めている。

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カップ焼きそばとしては、1974年7月発売の恵比寿産業「エビスカップ焼そば」、1975年9月発売の「マルちゃん やきそば弁当」「ペヤングソースやきそば」に続く登場だった。

U.F.O.は後発である。なのに、強かった。

1978年のテレビCMにピンク・レディーを起用してから、爆発的なヒット商品となる。当時のカップ焼きそば市場でシェア60%超を獲得したのだから、とんでもない。後から来た円盤が、先行勢を一気に上空から制圧した。まさに未確認飛行物体。

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1991年には、現在も続く角型容器の「日清焼そばU.F.O. ビッグ」が登場した。ただ、これは個人的にはU.F.O.への冒涜だと思っている。U.F.O.は円盤であってナンボだ。

1996年には、味変として「日清焼そばU.F.O. 青春カレー」が登場。翌年には「わさびマヨ」、1998年には「シーフード」、2004年には「塩やきそば」など、味変ドリクスを繰り返していく。

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当初のパッケージは、赤と白を基調とした日の丸カラーだった。だが1997年、具材に豚肉を加えたリニューアルと同時に、赤と黒の配色へ変更される。

湘北高校カラーである。白と赤の素朴な国民食から、赤と黒の戦闘モードへ。ソースの濃さも、パッケージの圧も、ここから一段ギアが上がったように感じる。

2002年には、麺重量が半分の「日清焼そばプチU.F.O.」を発売。2011年には、麺を「3層太ストレート麺製法」でより太く、より食べ応えのあるものに進化させた。2024年には、ソースを現在の「ぶっ濃い濃厚ソース」と命名。香るだけでは足りない。口の中を支配してこそ、U.F.O.である。

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さらに「日清焼そばU.F.O. 爆盛バーレル」という、麺2玉、180gのサイズも登場した。

湯切りと祖母の憶い出

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「日清焼そばU.F.O.」には、今も忘れられない思い出がある。小学生の頃、家族が外出し、家に自分と祖母の二人だけになったことがあった。

祖母は料理をする人ではなかった。たまにネギ焼きなどをおやつに作ってくれたが、日常的に台所へ立つのは母。祖父が「どん兵衛」をケース買いしていたので、カップラーメンを作ることはあった。しかし、カップ焼きそばを作ることはなかった。

祖母は「湯切り」という工程を知らない。ここが、すべての始まりだった。その日、自分は昼食に「日清焼そばU.F.O.」を食べようとしていた。すると祖母が言った。

「作ったる」

ありがたい。だが、少し不安でもある。

「ええよ。自分で作るわ」

そう言ったが、祖母は引かない。

「ええから、作る作る」

孫の世話をしたいのだ。せっかくの好意を無碍にするのも悪い。祖母はお湯を沸かし、U.F.O.作りに入った。自分はテレビを見ながら待っていた。

数分後、円盤がテーブルに運ばれてきた。パッケージは完全にめくってある。そこにあったのは、いつもの「日清焼そばU.F.O.」ではなかった。

容器いっぱいにお湯が入った焼きそばだった。

ラーメンである。完全にラーメンである。

昭和ひとけた生まれの祖母は、U.F.O.を焼きそばではなく、カップラーメンだと思ったのだ。湯切りをしていない。ソース焼きそばになるはずの円盤が、なぜか湯船につかっている。麺はのびのびとしている。ソースの気配は薄い。U.F.O.なのに、飛ばない。沈んでいる。

「何してくれてんねん」と言うのは簡単だ。しかし、祖母は好意で作ってくれた。孫に食べさせようとしてくれた。その気持ちを、真正面から否定することはできない。

自分は黙った。しばらく待ち、祖母がいなくなってから、そっとキッチンの流し台へ行った。そして、お湯を捨てた。

だが、もう遅い。麺はすっかり伸びている。ふやけている。お湯をたっぷり吸っているので、ソースを絡めても味が薄い。しかも完全にお湯を捨てきれない。結果、焼きそばでもラーメンでもない何かを食べることになった。

U.F.O.のはずが、未確認液状物体になっていた。それでも、食べた。祖母の好意が入っていたからだ。

あの日、自分はひとつの世界の理を学んだ。好意は、必ずしも良い結果につながるとは限らない。そして、日清焼そばU.F.O.において、湯切りは命である。

いまでもU.F.O.を作るたびに、あの昼のことを思い出す。テーブルに置かれた、湯気を立てる円盤。焼きそばになるはずだったもの。祖母の「作ったる」という声。

そして、湯切りは命であるという、鉄の掟を。

「日清焼そばU.F.O.」

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丸い円盤型の容器いっぱいに、赤、黒、黄色が派手に配置されている。中央には大きく「U.F.O.」のロゴ。カップ焼きそばというより、巨大な看板か、ゲームセンターの景品機のような勢いがある。

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いつだって、UFOは未知との遭遇。食べ慣れた味であっても、初心者の気持ちで挑む。

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カロリーは556。ゴーゴーロクの蓬莱と同じ。関西人にとって、マジックナンバーである。

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ソースをかけた瞬間、香ばしい匂いが広がる。甘辛くて、濃くて、少し焦げたような屋台の匂い。さらに青のりをかけると、今度は爽やかな磯の香りがふわっと立つ。

この2段パフュームが、U.F.O.の強さだ。まずソースの濃厚な香りで食欲をつかみ、次に青のりの香りで一気に焼きそばらしさを完成させる。もはや香水である。ソースの香水。青のりの香水。食べる前から、鼻が完全にU.F.O.に支配される。

実際の麺は、ソースがしっかり絡んでいる。麺の表面に均一にソースがまとわり、艶が出ている。カップ焼きそば特有の、少しぎゅっと詰まったような麺の密度もある。ふんわり軽い焼きそばではなく、濃いソースを受け止めるための麺だ。

濃い。派手。香る。食欲にまっすぐ来る。ソースで殴り、青のりで抱きしめる。ただの麺がU.F.O.になる。この変身こそが、日清焼そばU.F.O.の正義だ。

 

「日清焼そばU.F.O.」アレンジレシピ

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「日清焼そばU.F.O.」を最も美味しく食べる方法は、日本一カッコいい男から生まれた。名付けて、「キムタク納豆キムチ日清焼そばU.F.O.」

名前が長い。だが、強い。この魔法のレシピは、木村拓哉のYouTubeで紹介されたアレンジが元になっている。キムタクはペヤングで実践していたが、こちらはU.F.O.でやる。なぜなら、U.F.O.はソースが強いからだ。

2005年には「日清焼そばU.F.O. キムチU.F.O.」という商品も登場している。しかし、正直に言う。このアレンジのほうが、100億倍うまい。

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普通に「日清焼そばU.F.O.」を作る。湯切りをする。ソースを絡める。青のりをかける。ここまでは通常運転。そこに、キムチ、納豆、オリーブオイルの三種の神器を添える。

以上。料理と呼んでいいのか分からないほど簡単だが、味は事件である。

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キムチ。こいつを加えると、U.F.O.のジャンク感が一気に跳ね上がる。もともと濃いソースに、キムチの辛味と酸味が殴り込んでくる。甘いソースとキムチの辛味の連弾。濃厚ソースが低音なら、キムチは高音のギターである。口の中で、焼きそばロックフェスが始まる。

次に、納豆。これが意外にも合う。いや、意外どころではない。合いすぎる。

納豆のねばりが、ソースをまとった麺に絡む。麺、ソース、納豆の粘りが一体化し、普通の焼きそばにはない重心が生まれる。U.F.O.の麺が、急に“ご飯泥棒”みたいな顔をし始める。焼きそばなのに、定食の主役みたいな説得力が出る。

そして最後に、オリーブオイル。ここで世界が変わる。キムチと納豆だけだと、かなり強い。発酵食品同士が真正面からぶつかるので、味の圧がすごい。そこにオリーブオイルをたらすと、食感と風味が一気にまろやかになる。角が取れる。辛味が丸くなる。納豆の粘りが艶に変わる。ソースの濃さに、どこか洋風の余韻が加わる。

U.F.O.、納豆、キムチという完全に日本の食卓の暴走に、オリーブオイルが参戦。和、韓、伊、そして日清。食卓の国際会議である。

最初にU.F.O.のぶっ濃いソースが来る。次にキムチの酸味と辛味。そこへ納豆の旨みと粘りが追いかけてくる。オリーブオイルが全体を包み、口の中を艶やかにまとめる。

そして何より、このアレンジの凄いところは、U.F.O.の強さが消えないことだ。

キムチも強い。納豆も強い。オリーブオイルも香る。普通の焼きそばなら、完全に主役を奪われる。だが、U.F.O.は負けない。ぶっ濃い濃厚ソースが土台にあるから、全部を受け止める。むしろ、具材が増えるほど王者感が増す。

キムチでキレを出し、納豆で旨みを足し、オリーブオイルでまろやかにまとめる。

これは、U.F.O.の第二形態である。ソースで殴る。キムチで斬る。納豆で絡め取る。オリーブオイルで抱きしめる。

これはもう、食卓に現れた、発酵系ジャンクフードのラスボスである。

 

日清焼そばU.F.O. だし醤油きつね焼そば

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U.F.O.は最強の相棒を召喚した。2021年に初登場した「日清焼そばU.F.O. だし醤油きつね焼そば」である。

丸いU.F.O.の容器に、巨大な「どん兵衛」の文字が突き破るように入っている。赤と黄色のU.F.O.ワールドに、どん兵衛が乱入してきたようなデザイン。まるで、長年別々のリングで戦ってきた二大スターが、ついに同じ舞台に立ったような迫力がある。

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U.F.O.とどん兵衛の合体技。U.F.O.ならではのコシのある中太ストレート麺に、どん兵衛らしいかつおだしの風味をきかせただし醤油つゆが絡む、うまみ豊かな一杯である。

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2023年には、醤油ダレの配合を見直し、メンマのクセを抑え、醤油の旨みをアップ。つまり、ただのコラボ商品ではない。ちゃんと進化している。U.F.O.は飛びながら成長する。パッケージからして、すでに面白い。

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ただし、フタを開けると少し戸惑う。基本はU.F.O.焼きそばである。中の麺も、容器も、作り方もU.F.O.。中に入っているのは、緑の「液体だしソース」と、赤い「特製追いだし粉」

どん兵衛のカップうどんのような見た目ではない。最初は「どん兵衛要素どこ?」と思う。下手をすれば、どん兵衛詐欺になりかねない。

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だが、食べると分かる。これはU.F.O.であり、どん兵衛である。ハイブリッドではない。フュージョンだ。

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悟空とベジータが合体してベジットになるように、U.F.O.とどん兵衛がひとつになっている。別々の良さを足しただけではない。まったく別の強さになっている。

ソースを絡めた瞬間、いつものU.F.O.とは香りが違う。濃厚ソース焼きそばの荒々しさではなく、かつおだしの風味がふわっと立つ。焼きそばなのに、だしがいる。U.F.O.なのに、和の気配がある。

濃厚な焼きそばでありながら、どこか上品。ソースで殴るいつものU.F.O.とは違い、だし醤油が静かに攻めてくる。祭りの屋台で食べる焼きそばではない。神社の例祭で、夕暮れにいただく焼きそばである。ざわざわした熱気ではなく、少し厳かな空気がある。

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麺はU.F.O.らしく、しっかりしている。中太ストレート麺のコシがあり、だし醤油のつゆをきちんと受け止める。濃厚ソースのための麺かと思いきや、和風だしにも見事に合う。U.F.O.の麺の懐の深さを思い知らされる。

そして、どん兵衛の象徴である油揚げ。カップうどんの油揚げとは違い、焼きそばの中に入ることで、また別の顔を見せる。だし醤油を吸い、麺の中に紛れ、噛むとじゅわっと旨みが出る。うどんの相棒だった油揚げが、焼きそばの親友になっている。

余計な具がないのもいい。あれこれ足さない。麺とだし醤油と油揚げ。この三者だけで十分成立している。むしろ、ここに第三の男が入ってはいけない。友情を邪魔してはいけない。

何も引かず、何も足さない。それがこの一杯の正義である。

「日清焼そばU.F.O. だし醤油きつね焼そば」は、ソース焼きそばの暴力性を、どん兵衛のだしで和らげた一杯ではない。U.F.O.の麺の強さと、どん兵衛のだしの品格が、真正面から融合した一杯だ。

濃いのに和風。ジャンクなのに美人。焼きそばなのに、どん兵衛。

U.F.O.は未知との遭遇だが、この「だし醤油きつね焼そば」は、未知の中でもかなり完成度が高い。食べ終えたあと、思わず思う。U.F.O.とどん兵衛、もっと早く合体してくれればよかったのに。これはカップ麺界のベジットである。

 

食の憶い出を綴ったエッセイを出版しました!

月とクレープ。

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『月とクレープ。』に寄せられたコメント

美味しいご飯を食べるとお腹だけではなく心も満たされる。幸せな気持ちで心をいっぱいにしてくれる、そんな作品。

過去を振り返って嬉しかったとき、辛かったときを思い出すと、そこには一生忘れられない「食」の思い出があることがある。著者にとってのそんな瞬間を切り取った本作は、自分の中に眠っていた「食」の記憶も思い出させてくれる。

セブンプレミアム「とろろ昆布と梅のうどん」〜梅が斬り、とろろ昆布が包む。170円の和風だし名作

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  • 価格:170円(税込)
  • ジャンル:カップめん
  • カロリー:218kcal
  • 内容量:62g
  • 製造:明星食品株式会社

セブンイレブンで働く、リアル・コンビニ人間が知っている“本気の商品”がある。

「とろろ昆布と梅のうどん」

セブンイレブンの棚にいる、静かな怪物。2026年6月8日に発売された、158円(税抜)で買えるカップうどん。

見た目は、まったく威圧してこない。パッケージも淡い。梅のピンク、とろろ昆布のやさしい色、うどんの白。ギラギラしたカップ麺ではなく、旅館の朝食にそっと置かれていそうな顔をしている。派手な新商品が並ぶコンビニ棚の中で、ひとりだけ浴衣を着ているような落ち着きがある。

しかし、侮ってはいけない。発売するや、料理研究家のリュウジさんがYouTubeで最高評価の「S+」をつけた。

「こんなに美味しくて罪悪感なし。食べてて飽きない。文句のつけどころがない。これからのカップラーメン界のスタンダードになっていく」と絶賛。その影響もあって、買えない店が続出している。

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中身は潔い。具材もなく、蓋を開けてお湯を注ぐだけ。袋を破る必要もない。かやくを入れる必要もない。粉末スープを探す必要もない。お湯を注ぐ。それだけ。あまりにシンプルで、逆に不安になる。しかし、この商品は具材でごまかさない。正面から、うどんと出汁で勝負してくる。

つゆは、鰹、昆布、鯖、イリコといった和風だしが土台。そこに、とろろ昆布の旨味が重なり、梅のさっぱりとした味わいがアクセントとして走る。

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湯を注ぐと、白いうどんがやわらかくほどけ、淡い黄金色のつゆに沈む。その中に梅の赤がぽつんと浮かぶ。派手な具材がないぶん、うどんそのものの白さ、つゆの透明感、梅の色が際立つ。これはカップ麺というより、小さな湯気の庭である。

味は、昆布の風味が強い。とろろ昆布の旨味がふわっと広がる。海の香りというより、和食の記憶。そこへ梅の酸味がスパッと入る。この切れ味が日本刀並み。攻撃的ではない。むしろ心地いい。重くなりそうな昆布の旨味を、梅がきれいに整えてくれる。

バランスが良すぎる。オリンピックの女子平均台で金メダルを取れるバランスの良さ。出汁、昆布、梅、うどん。そのどれかが出しゃばるのではなく、全員が見事に着地する。麺にも出汁が効いているので、具材が欲しいと思わない。むしろ、具材がないことが正解に思えてくる。

リュウジさんが絶賛するだけある。これは、カップうどんの頂上に限りなく近い一杯。派手さではなく、淡さで勝つ。セブンイレブンの棚に置かれた、小さな和風だしの名作である。

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セブンイレブン「あじフライ(フィレ)」〜レジ横に漁港が来た、180円で味わう、サクサクの港町

セブンイレブン「あじフライ(フィレ)」

  • 価格:180円(税込)
  • ジャンル:フランク
  • 製造:Unions株式会社
  • カロリー:172kcal

セブンイレブンのレジ横に、海が来た。

2026年6月9日から登場した新顔、「あじフライ」である。コンビニのホットスナックといえば、チキン、フランク、アメリカンドッグ。そこへ突然、魚。しかも、あじフライ。渋い。あまりにも渋い。だが、こういう商品こそ、セブンイレブンの本気が出る。

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三角形のような、扇形のような、きれいに開かれた魚のシルエット。衣はこんがり黄金色で、細かなパン粉がびっしりまとわりついている。チキンのような暴力的な茶色ではなく、どこか魚らしい軽さを残した揚げ色。ケースの中にあると、まるで港町の定食屋からひと切れだけワープしてきたような顔をしている。

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調理はアメリカンドッグと同じ。170度の油で4分揚げる。この4分間で、衣はサクサクに、身はふっくらに仕上がる。

使われているのは、フライに適したタイ原産のメアジ。漁獲後すぐに急速冷凍されているため、鮮度の良さがしっかり守られている。さらに、一尾ずつ丁寧に骨取り処理がされている。ここが偉い。あじフライはうまい。しかし骨があると、急に現実に引き戻される。そのストレスを取り除いてくれるだけで、もうかなり強い。

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食べると、まず衣が軽い。サクッ。

そのあと、白身の旨みが来る。漁港の市場で食べるような本格的な鯵の味わいがありながら、重すぎない。魚のフライなのに、どこかスナックのような軽さがある。ご飯のおかずにもなるし、小腹を満たすおやつにもなる。部活帰りにも、仕事帰りにも、ビールの横にも置ける万能選手。

あじフライは、地味に見えて、実はかなり自由な食べ物である。これはフランク棚に現れた、漁港の刺客。サクサクの衣に、ふっくらした鯵。市場の本格感と、スナックの軽快感。その両方を持った、コンビニ揚げ物界の新しい名脇役である。

 

食の憶い出を綴ったエッセイを出版しました!

月とクレープ。

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『月とクレープ。』に寄せられたコメント

美味しいご飯を食べるとお腹だけではなく心も満たされる。幸せな気持ちで心をいっぱいにしてくれる、そんな作品。

過去を振り返って嬉しかったとき、辛かったときを思い出すと、そこには一生忘れられない「食」の思い出があることがある。著者にとってのそんな瞬間を切り取った本作は、自分の中に眠っていた「食」の記憶も思い出させてくれる。

プッチンプリン〜スイーツ界の富士山、51億個売れた“プッチン”の正体

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  • 価格:税込189円(セブンイレブン)
  • ジャンル:洋生菓子
  • 製造:江崎グリコ株式会社(グリコ乳業)
  • カロリー:212 kal

「ポッキー」と並ぶグリコの顔として、1972年に誕生したのが「プッチンプリン」である。40代以上の人間に「子どもの頃のご馳走は?」と聞けば、かなりの確率でこの名前が返ってくるだろう。あの丸み、あの黄色、あのカラメル、あの“プッチン”の儀式。プッチンプリンは、おやつである前に、ノスタルジーの装置。プッチンプリンは、もはやプリンではない。日本人の“甘い記憶”そのものだ。

実績がとんでもない。2013年には、販売個数が世界一多い(51億個突破)プリンとしてギネス世界記録に認定されている。51億個。もはやプリンというより国家的インフラである。どれだけ多くの冷蔵庫に入り、どれだけ多くの子どもと大人を笑顔にしてきたのかと思うと、この一個の背負っている歴史の重みがすごい。

プッチンプリンの歴史(はじまり)

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開発の始まりも面白い。1970年頃、牛乳・乳飲料やヨーグルトなどの乳製品は売られていたが、デザート商品はほとんどなかった。そんな時代に、「デザートをもっと手軽に楽しんでいただけるよう小売店で販売できないものか」と、グリコの開発スタッフは日々アイデアを探していた。

すると、ひょんなことから、町のケーキ屋ではプリンが高い人気を誇っており、家庭で簡単に作れるプリンの素もよく売れていることを知る。
つまり人々はプリンを愛していた。だが、もっと気軽に、もっと日常的に楽しめるプリンはまだなかった。そこにグリコは目をつけたのである。

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そこで追求されたのが、「Glicoにしかできないことは何か」だった。その答えがすばらしい。お店で食べるプリンと同じように、お皿に出して、カラメルとプリンをひとくち目から一緒に食べることのできるプリンを考案したのだ。

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ただカップに入ったプリンでは終わらない。ちゃんと“皿に出す”という体験ごと商品にした。そして、ツマミを折って空気を入れると容器から簡単にお皿に出せるプリンの開発に成功。

1972年の商品名は「グリコプリン」

「グリコプリン」として1972年に販売を開始し、1974年に商品名を「プッチンプリン」に変更。さらにテレビCMによって知名度が向上した。ここが実に見事だ。商品を売るだけではなく、“プッチンする”という行為そのものを文化にしてしまった。

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その象徴が、容器の底にある「プッチン棒」と呼ばれるツマミである。これを折ることで、プリンが皿の上に滑り落ちる。すると、喫茶店などで提供されているプリンと同様、カラメルソースが上になり、ひと口目からプリンとカラメルを同時に食べることができる。この設計が本当に偉い。最後にカラメルへたどり着くのではない。

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最初から、あの甘くてほろ苦い幸福を一緒に味わえる。しかも、プリンが「プルルン」と皿に滑り落ちる楽しさが子どもたちの心をつかみ、一躍トップブランドになった。味だけではなく、動きまで発明してしまったのである。

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実は、ここにおもしろい事実がある。「プッチンする派」は全体の4割以下で、「プッチンしない派」が6割以上。え、そうなのか、と思う。あの商品の核みたいな行為が、少数派。

だが、それでもグリコさんは、少数派のワクワク感を守るため、コストがかかっても製造を続けている。多数決では消せない楽しさがある。

あの“プッチン”の一瞬のために、ちゃんと機構を残している。企業の良心が、甘い顔をしてそこにいる。

プッチンプリンの原材料

味についても抜かりがない。シュークリームを手本に再現したカスタードクリームのコクと味わい、練乳とバニラの風味が特徴。ここが実に贅沢だ。ただの卵プリンではない。シュークリームのようなご褒美感を、プリンの形で成立させている。さらに、保存料と人工甘味料に加えて、着色料も不使用。安心感まできちんと整えている。

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そしてこのプリンは、蒸さずに作られるため、独特のプルプルした食感とミルク感の強い味わいを持つ。いわゆる焼きプリン系のむっちり感とは違う、あの“ぷるん”の軽やかさ。口の中でゆれる感じ。ミルクのやさしさがふわっと広がる感じ。プッチンプリンにしかない食感の理由が、ここにある。さらに、時代に合わせて配合を見直し、クリーミーさを向上させている。昔の定番で終わらず、ちゃんと現役で進化している。

小さいサイズ3個パック

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商品展開もまた、時代と生活に寄り添っている。1990年には「小さいサイズ3個パック」が発売。これは価格も手頃で、小さい子どもでも残さずに食べられるように配慮されたものだった。

あれは確かにうれしかった。小学生の頃、冷蔵庫に3個パックがあると嬉しかった。この途中で少し勢い余っている感じまで含めて、当時の喜びの生々しさが伝わってくる。冷蔵庫を開けて、あの3連が見えたときの高揚感は、かなり特別だった。

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見た目も、ものすごくいい。花のように波打つフォルムが完璧だ。皿に出した瞬間、ただのカップデザートではなく、一気に“作品”になる。上に広がるつやつやのカラメルソースは、琥珀色というより、もはや甘い宝石。下のやわらかなクリームイエローとのコントラストが美しく、誰が見ても「これはおいしいやつだ」と直感できる。

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パッケージもまた強い。オレンジ、グリーン、イエローの配色は、昭和から平成、そして令和まで生き残った定番の風格がある。しかもBigプッチンプリンのロゴには妙な安心感がある。派手なのに下品じゃない。親しみやすいのに安っぽくない。
さらに、ふたの上のイラストやハート柄には、どこか懐かしいかわいさがある。冷蔵コーナーで見かけると、理性より先に子どもの頃の記憶が反応するタイプのデザインだ。

そして何より、この商品の本質は味わいにある。プリンの代名詞。ドラクエのはぐれメタルに遭遇したようなボーナス感。冷蔵庫で見つけた瞬間、ちょっとテンションが上がる。手に持った時点で勝ち確。卵のやさしさ、カラメルの甘さ。この組み合わせはあまりにも王道で、あまりにも強い。プリン界の富士山。原点にして頂上。言い過ぎに見えて、全然言い過ぎではない。定番には定番になる理由がある。そしてプッチンプリンは、甘さという幸福を最もシンプルに教えてくれる。豪華すぎない。気取りすぎない。でも、食べるとちゃんと満たされる。幸福の基本形がここにある。

Bigプッチンプリン

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一方で、真逆の方向にも攻めている。1993年には、若い男性向けにさらなる満足感を追求して「Bigプッチンプリン」が発売。これが、生産が追いつかない大ヒットになった。

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小さくもできるし、大きくもできる。この懐の深さ。子どもにも寄り添い、若い男性の“もっと食べたい”にも応える。プッチンプリンは、人生のさまざまな食欲に対応できる万能型なのである。

植物生まれのプッチンプリン

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この“国民的プリン”は、やさしさの方向にも進化している。2020年3月16日から登場したのが、「植物生まれのプッチンプリン」

これは、ただの派生商品ではない。思想のアップデートだ。

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卵も、乳も使わない。動物性原料を一切排除し、豆乳とアーモンドペーストで構成された、新しいプッチンプリン。アレルギーを持つ子どもでも、同じ「プッチン体験」を共有できるように設計された一品である。

ただ“食べられる代替品”を作ったのではない。“あの楽しさ”ごと、誰一人取りこぼさないようにした。

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味わいは、想像以上にしっかりしている。植物由来と聞くと、どこか軽く、物足りないものを想像するかもしれない。だが、このプリンは違う。

きび砂糖のやわらかな甘み。豆乳のまろやかさ。アーモンドペーストのコク。この三つが重なり、静かに、しかし確実に“プリンとしての満足感”を成立させている。

甘すぎない。でも薄くもない。やさしいのに、ちゃんと濃い。

そして食感。ここも抜かりがない。あの“ぷるん”とした揺れ。スプーンを入れたときの抵抗のなさ。口に入れた瞬間のなめらかなほどけ方。

ちゃんと、プッチンプリンだ。

見た目もいい。通常のプッチンプリンよりも、やや淡く、やわらかなクリーム色。カラメルの琥珀色とのコントラストはそのままに、全体に静かな優しさが漂っている。

誰かが食べられない、を減らすことで、誰かと同じ時間を共有できる。そのために、あの「プルルン」とした一瞬が、今日も用意されている。

甘さは、やさしさに進化する。プッチンプリンは、まだ進んでいる。

ちょこっとプッチンプリン

ちょこっとプッチンプリン

プッチンプリンは“持ち歩ける幸福”にも進化している。

2014年(平成26年)には、「プッチンプリンを、お弁当などと一緒に外でも食べたい」というニーズに応えて、常温で約6か月保存できる一口サイズのプリン「ひとくちプッチンプリン」が発売された。

プリンは本来、冷蔵庫の中にいるものだった。家に帰って、冷蔵庫を開けて、スプーンを持って食べるもの。

それを、外へ連れ出した。お弁当の横へ。遠足のリュックへ。仕事中の小さな休憩へ。子どものおやつ袋へ。

プリンが、ポケットサイズのご褒美になったのである。6個入りで、カップの底をつまむだけで食べられる容器。スプーンも皿もいらない。底を軽く押すと、ぷるん、と小さなプリンが現れる。プッチンプリンの楽しさを、ぎゅっと一粒に閉じ込めた。

商品名は、2018年、平成30年に「ちょこっとプッチンプリン」へ変更された。

この名前がまた、かわいい。“ひとくち”よりも、さらに気軽。“ちょこっと”という言葉には、食べる側を甘やかしてくれる響きがある。

ちょこっと休む。ちょこっと甘いものを食べる。ちょこっと元気になる。

人生には、巨大なご褒美よりも、こういう小さな甘さに救われる瞬間がある。

外袋は、オレンジとピンクを基調にした明るいデザイン。ポムポムプリンのキャラクターたちが散りばめられ、虹やハート、クラッカーのイラストまで入っている。もうパッケージ全体が、小さなお祭りだ。

ちょこっとプッチンプリン

中の個包装もかわいい。緑と黄色のフタに、ゆるい表情のポムポムプリン。6個並んでいるだけで、食べる前から少し笑ってしまう。プリンというより、机の上に並んだ小さなマスコットのような愛らしさがある。

味は、しっかりプッチンプリン。ただし、一粒でも満足できるように、少し甘さを強めている。小さいから薄いのではない。小さいからこそ、ひと口の中に幸福を濃縮している。口に入れると、ゼリーのようにチュルっとすべり込む。カスタードのやさしい甘さ。カラメルの香り。そして、あの懐かしいプッチンプリンの余韻。

それは、幸福を小分けにできることだ。

プッチンプリンが、家族の冷蔵庫から、外の世界へ出ていく。それでも味は、ちゃんとあの頃のまま。小さくなっても、プッチンプリンはプッチンプリン。甘い記憶は、6個入りになっても色あせない。

プッチンプリンは、子どもの頃のご褒美、皿に落ちる一瞬の高揚、そして“甘いものって、やっぱりいいよな”という人生の真理である。

 
 
 
 

凍らせプッチンプリン

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プッチンプリンはアイスにもなる。

作り方は簡単。カップのまま冷凍庫に入れ、6時間以上凍らせるだけ。これで「凍らせプッチンプリン」の完成である。

凍らせプッチンプリン

これが、思っている以上にうまい。スプーンを入れると、いつものぷるんとした感触ではなく、シャクッと小気味いい抵抗がある。プリンの甘さは少し控えめに感じられ、カラメルの甘みも、冷たさの中で静かになる。濃厚なデザートというより、冷たさと食感を楽しむ“プリンの氷菓”だ。

近いものを挙げるなら、ロッテの「爽」。あのシャリッとした軽さに似ている。ただし、凍らせプッチンプリンはもっと淡い。もっとやさしい。アイスクリームほど押してこない。カスタードの風味とカラメルの余韻が、冷たさの奥からふわっと戻ってくる。

何よりいいのが、最後の余韻である。

凍らせプッチンプリン

「爽」は最後のほうになると溶けて液体に近づき、飲み物のようになっていく。それはそれでおいしいが、少し尻すぼみになる感覚もある。

一方、凍らせプッチンプリンは、最後までシャリシャリ感が残る。しかも、溶けても終わらない。溶けた部分は、ちゃんと冷たいプリンとしておいしい。アイスとして食べ始め、最後はプリンとして着地する。この二段構えがすばらしい。

プッチンプリンは、ぷるん、だけでは終わらない。シャクシャクという新しい幸福まで持っている。

 
 
 
 

グリコさんの名品

食の憶い出を綴ったエッセイを出版しました!

月とクレープ。

月とクレープ。Amazon  Kindle

『月とクレープ。』に寄せられたコメント

美味しいご飯を食べるとお腹だけではなく心も満たされる。幸せな気持ちで心をいっぱいにしてくれる、そんな作品。

過去を振り返って嬉しかったとき、辛かったときを思い出すと、そこには一生忘れられない「食」の思い出があることがある。著者にとってのそんな瞬間を切り取った本作は、自分の中に眠っていた「食」の記憶も思い出させてくれる。

セブンイレブン「えびとイカの海鮮春巻」〜海鮮好きよ、覚悟しろ。180円春巻が、帰り道を奪っていく

セブンイレブン「えびとイカの海鮮春巻」

  • 価格:180円(税込)
  • ジャンル:フランク
  • 製造:株式会社スワロー食品
  • カロリー:139kcal

セブンイレブンで働く、リアル・コンビニ人間が知っている“本気の商品”がある。

2026年5月12日から発売。「えびとイカの海鮮春巻」

先に言うと、春巻きの最高峰、エヴェレストである。いや、海鮮だからマリアナ海溝。

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えび、イカ、小柱を使用した中具を、パリパリの赤い皮で包んだ春巻。

手がけるのは、日本で唯一の春巻き専業メーカー「スワロー食品」。セブンイレブンの店頭に並ぶお惣菜の「五目春巻」も同社が手掛けている。春巻のプロフェッショナル。寿司なら寿司職人。ラーメンならラーメン職人。春巻ならスワロー食品である。

作り方は、ハッシュドポテトと同じ。押さえ蓋をしながら170度の油で4分揚げる。じっくり熱を通し、外側をパリッと仕上げる。この4分間が重要だ。短すぎれば皮の食感が出ない。長すぎれば海鮮の旨みが逃げる。その絶妙な地点に着地している。

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黄金色ではない。赤い。ほんのり朱色を帯びた皮が、まるで中華街のショーケースから抜け出してきたような存在感を放っている。揚げ物なのに軽やかで、どこか上品。普通の春巻とは明らかに空気が違う。

セブンイレブン「えびとイカの海鮮春巻」

断面を見た瞬間、勝負あり。透き通るような海鮮あんの中に、えび、イカ、小柱がぎっしり。海の宝石箱である。

セブンイレブン「えびとイカの海鮮春巻」

ひと口かじると、まず、パリッ。音が鳴る。続いて、とろっ。海鮮あんが現れる。

えびの甘み。イカの旨み。小柱のコク。それらが熱々のあんの中で渾然一体となり、口の中へ押し寄せてくる。味は、お祭りの屋台で買うような心地いい海の香り。潮風。夜店。夏祭り。花火。そんな記憶がまとめて押し寄せる。

気付けば意識は海上。そしてそのまま、バミューダ・トライアングル(魔の三角地帯)へ飲み込まれていく。なぜなら止まらないからだ。

180円(税込)で買える海鮮旅行。セブンイレブンのケースの中に並んでいるが、その実態は、春巻という名前を借りた海鮮アトラクション。見つけたらぜひ手に取ってほしい。海鮮好きなら、高確率で帰ってこられなくなる。

 

食の憶い出を綴ったエッセイを出版しました!

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『月とクレープ。』に寄せられたコメント

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ザクチキ(魅惑のうま辛)〜食感の暴力、ザクの正義、セブンで一番“音がうまい”やつ

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  • 価格:250円(税込)
  • ジャンル:フランク
  • 製造:ニチレイフーズ
  • カロリー:218kcal

セブンイレブンで働く、リアル・コンビニ人間が知っている“本気の商品”がある。

それが、ザクチキ(魅惑のうま辛)。カロリーは218kcal。

この数字、絶妙だ。重すぎない。軽すぎない。満足感はきっちり主役級。250円で、かなり強い時間が買える。

まず見た目がいい。この赤みを帯びた黄金色。ただのきつね色では終わらない。表面にはスパイスの粒が散り、衣はゴツゴツ、ザラザラ、いかにも噛みごたえがありそうな顔。ショーケースの中でも目立つ。“私はサクサクではありません。ザクザクです”と、見た目から宣言している。

商品名もいい。「ザクチキ(魅惑のうま辛)」。擬音から先に来る潔さ。しかも“魅惑”。ただ辛いだけではない。誘惑まで込みで売ってくる。

中身は、にんにくペーストや醤油などさまざまな調味料を配合したフライドチキン。ここがうまさの芯だ。にんにくでパンチを作り、醤油で日本人の舌に着地させる。ジャンクに見えて、味の設計はかなり緻密。

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しかもこの商品、ただ昔からある定番ではない。2024年11月から発売。そして、2025年6月からリニューアル。そのリニューアル内容がまた本気だ。大きなパン粉の隙間に小さなパン粉が入り込むことで、よりザクザクした食感が感じられるように工夫。

この説明、地味に見えてすごい。衣の構造から変えてきている。気合いが、完全に食感に振り切っている。

調理は、170度の油で5分30秒揚げる。この“5分30秒”が生むのは、ただの揚げたてではない。外のザク感と、中の肉の水分を両立するための時間だ。

ザクチキ(魅惑のうま辛)〜食感の暴力、ザクの正義、セブンで一番“音がうまい”やつ

かじる。

ザックザク。本当に、ザックザク。サクッではない。軽快というより、豪快。衣が歯にぶつかってくる快感。そして、中から現れるのがモチモチの鶏肉。

外は荒々しい。中はやわらかい。しかも、そこにピリ辛のスパイスが渾然一体。

辛すぎない。でも確実にテンションが上がる。うま味と刺激が、しっかり手を組んでいる。

そして、真価は飲み物と組み合わせた時に出る。炭酸で流し込めば、酩酊状態。もちろん本当に酔うわけではない。だが、脳が「これは優勝です」と判断する。衣のザクザク、肉のモチモチ、うま辛の刺激、そこへ炭酸。もう逃げ場がない。

これは単なるホットスナックではない。フライヤーケースの中で積み上げられてきた、ひとつの到達点だ。

コンビニのフランクの到達点。

ザクチキ(魅惑のうま辛)。名前負けしない。見た目も味も食感も、全部ちゃんと前に出てくる。“ザクザク”を本気で信じて作った、かなり危険な完成品である。

 

食の憶い出を綴ったエッセイを出版しました!

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『月とクレープ。』に寄せられたコメント

美味しいご飯を食べるとお腹だけではなく心も満たされる。幸せな気持ちで心をいっぱいにしてくれる、そんな作品。

過去を振り返って嬉しかったとき、辛かったときを思い出すと、そこには一生忘れられない「食」の思い出があることがある。著者にとってのそんな瞬間を切り取った本作は、自分の中に眠っていた「食」の記憶も思い出させてくれる。

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