
2022年8月22日、サラリーマンの胃袋をつかむべく、新たなラーメン屋がオープンした。百庵。「ももあん」と読む。まだ深刻な運動不足に陥る前、たまに新宿中央公園と都庁の周りをジョギンしていた頃。人混みの熱気と排気ガス。タクシーがクラクションを鳴らし、背広姿の男が足早に横断歩道を駆け抜ける。味噌ラーメン専門店か。悪くない。赤と白の看板に吸い寄せられるように店内に入った。ジョギングの労を癒すのか、それとも脂肪燃焼を台無しにするのか。
2022年8月22日。サラリーマンの胃袋をつかむべく、新たなラーメン屋がオープンした。その名は「百庵(ももあん)」。まだ深刻な運動不足に陥る前、たまに新宿中央公園や都庁の周りをジョギングしていた頃のこと。人混みの熱気と排気ガス、タクシーのクラクション、足早に横断歩道を駆け抜ける背広姿の男たち。そんな喧騒の中に、赤と白の看板がふと目に入った。
「味噌ラーメン専門店か。悪くない」
吸い寄せられるように暖簾をくぐる。ジョギングの疲れを癒すのか、それとも脂肪燃焼を台無しにするのか。罪悪感を抱えて食べるラーメンは格別だ。

寒い夜に味噌ラーメンを食べると麺疫力がつく。券売機で「赤味噌ラーメン」(930円)のボタンを押す。カウンターに座ると、厨房からラーメンを作る音が響く。店員は外国の人。新宿のラーメン屋で、外国人が作るラーメンは旨い。これ、事実。
目の前に丼が置かれる。深い琥珀色のスープに背脂が浮かび、表面には油の膜が遊泳。刻まれた青ネギと糸唐辛子が彩りを添えている。麺を引き上げると、中太のちぢれ麺がスープをしっかりと絡め取る。咀嚼するたび、味噌の風味がさらに広がる。赤味噌のスープに浸された薄切りの肉は、脂の甘みが味噌の奥行きを引き出し、どこか懐かしさを感じる味だ。さらに、シャキシャキとしたもやしがアクセントを加える。

途中で生卵50円をはってグルグル。ピーター・アーツのハイキックからフグトルネードの追撃。失神KO必至。意識を回復したときには、丼の底が見えていた。新宿の喧騒が再び耳を打つ。しかし、体の内側から湧き上がる熱は、しばらく冷めそうになかった。
白味噌ラーメン

白味噌ラーメン1,150円。出汁の旨味を吸いきった太麺、濃さジャストミートの味噌、炙りチャーシュー、牛すじ煮込み、問答無用の味玉。5つ全部が100点のSMAPのような奇跡。塩気が舌に広がり、味噌のコクが押し寄せる。甘みがあるが、しつこくはない。白味噌独特の深みがあり、脂のコクがそれを後押しする。
「これは、胃にしみる」
店を出ると、新宿の街は相変わらずの喧騒。しばらく歩けば、またラーメンを食べたくなる夜がやってくる。そういう時は、またここに戻ってくる。
背脂醤油ラーメン

いろんなラーメン屋を開拓し、昔の名店を巡っているうちに、百庵から足が遠のいていた。店の前は毎日通っているのに、半年以上入っていない。そんな折、あの関東最強の味噌ラーメン屋が「背脂醤油ラーメン」を始めたという。気にならないわけがない。
2025年2月4日。開店と同時の11時に入店。丼が目の前に置かれる。スープの表面には背脂が踊る。期待が高まる。しかし、ひと口すすって——違和感。
「味噌ラーメンにしておけばよかった」
スープが濃すぎるのに、細麺がそれを受け止めきれない。濃厚スープには、太麺が合う。そして、塩気が強すぎる。何が主役で、何が調和なのか。まるで音痴の声楽隊のように、バラバラに響く。百庵のファンだからこそ、厳しく言わせてもらう。
次は、やっぱり味噌ラーメンにしよう。
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『月とクレープ。』に寄せられたコメント
美味しいご飯を食べるとお腹だけではなく心も満たされる。幸せな気持ちで心をいっぱいにしてくれる、そんな作品。
過去を振り返って嬉しかったとき、辛かったときを思い出すと、そこには一生忘れられない「食」の思い出があることがある。著者にとってのそんな瞬間を切り取った本作は、自分の中に眠っていた「食」の記憶も思い出させてくれる。