食いだおれ白書

世界を食いだおれる。世界のグルメを紹介します。孤高のグルメです。

2025-09-01から1ヶ月間の記事一覧

新世界「ぎふや本家」〜串かつの衣に宿る時代の記憶

新世界という町に降り立つと、時間の感覚が曖昧になる。昭和の残り香と観光地の喧騒が、ねじれるように入り混じっているからだ。通天閣を仰ぎ見て一息つくと、路地の一角に「ぎふや本家」の暖簾が現れる。 大正5年、1916年の創業。初代通天閣が建てられたわ…

新世界「とんかつ割烹 車屋」〜通天閣の灯火、出汁香る人情割烹

通天閣本通り商店街を歩いていると、きらびやかな看板や観光客のざわめきに目を奪われがちだ。 ふと視線を落とすと、小さなフクロウの置物がこちらを見つめている。その横にかかる木の看板に、静かに「とんかつ割烹 車屋」と刻まれている。2005年に開業した…

新世界最古のお好み焼き屋「うさぎや」〜通天閣の下で味わう混沌と浪漫

通天閣の灯りが宵闇に浮かび上がる頃、その足元の路地に「うさぎや」はある。昭和26年に暖簾を掲げてから60余年、今なお鉄板の音を響かせる、新世界で最も古いお好み焼き屋だ。 店の外には提灯が灯り、木目の看板に染み込んだ年月が、町の記憶そのもののよう…

京都・西京極「ROND.E(ロンデ)」〜グラウンドの向こうの"和"のハンバーガー

日本一おいしいハンバーガー屋さんが京都にある。アメリカの濃厚民族な味ではなく、京都の侘び寂びを体現したハンバーガー。 店の名は、「COFFEE&HAMBURGER ROND.E(ロンデ)」。白壁に黒枠の小さな建物。どこか欧州の片田舎を思わせる趣。入り口のベンチに…

『麓鳴館』」〜心斎橋に残る昭和の宝箱、音楽と人情が回る

心斎橋の喧騒から少し外れ、大宝寺通りを北に入った横丁に、1974年創業の喫茶館「麓鳴館(ろくめいかん)」はひっそりと佇んでいる。レンガ造りの外観は時代の流れをまとい、古びたというよりは歴史を刻んだ重厚さを放つ。 扉を開けると、アンティークな内装…

珈琲館 茶珈〜大阪・高津宮の隠れ家、瓦屋町の純喫茶オアシス

大阪・中央区瓦屋町、高津宮のすぐそばにある「珈琲館 茶珈(チャコ)」は、1980年の創業という老舗の喫茶館。高津宮まで足を伸ばすと一気に飲食店が少なくなるが、その静けさの中にこの店は佇んでいる。 「喫茶店」ではなく「喫茶館」と名乗るところが、な…

大阪王将と道頓堀の夜〜餃子と川が奏でる物語、炒飯とノクターン

1969年、大阪・京橋に誕生した「大阪王将」。その2年前、京都で生まれた「餃子の王将」とルーツを同じくするが、現在はまったくの別会社として歩んでいる。 京都発祥の「餃子の王将」が“安さ・ボリューム・スピード”で勝負してきたのに対し、大阪王将は“家庭…

道頓堀〜初秋、風の色を変え、風が満ちる街

御堂筋の並木が、初秋の風に少しだけ肩を落とす。神戸でのゴッホの帰り、街路樹の緑さえどこか油彩の厚みを帯びて見える。土曜の午前、車は粛々と流れ、人の歩調はそれよりわずかに遅い。信号が青になるたび、大阪の中心に吸い込まれていく。 角を折れて道頓…

金久右衛門 道頓堀店〜金醤油・紅醤油・大阪ブラック、道頓堀を彩る三つの物

金久右衛門(きんぐえもん)という名は、道頓堀によく似合う。創業は1999年7月、比較的新しい存在だが、大阪のラーメン文化を語る上で欠かせない存在に成長した。 道頓堀店は2011年末にオープン。ラーメン激戦区の中心にありながら、深夜も営業し続け、金曜…

法善寺横丁・夫婦善哉〜甘味の聖域、織田作之助も愛した甘味処

なんば・法善寺横丁の顔ともいえる老舗甘味処が「夫婦善哉」だ。創業は1883(明治16)年。文楽の太夫・竹本琴太夫こと木文字重兵衛が「お福」の屋号で始めた店が原点で、現在は法善寺・水掛不動尊のとなりに暖簾を掲げる。 織田作之助の小説『夫婦善哉』の舞…

喫茶オランダ〜昭和29年創業、難波の路地裏に灯り続ける、珈琲と夫婦の物語

大阪・日本橋。アニメやフィギュア、カードショップ、メイド喫茶で賑わうオタロードの北端に、昭和の時間を刻み続ける純喫茶がある。その名は「喫茶オランダ」 創業は昭和29年(1954年)。なぜ「オランダ」かといえば、江戸時代にオランダを通して西洋文化が…

ホルモンらーめん 8910 千日前店 (白寿)〜大阪ミナミ発、“夢と脂肪”に溺れる至福の一杯

ホルモンらーめん8910(白寿)は、大阪を中心に展開するラーメンブランドで、店名のとおり、“ホルモンらーめん”を看板商品とする。甘みのある牛骨出汁をベースに、コシの強いストレート麺と、ぷりぷりでコラーゲン豊富なホルモンを組み合わせた一杯は、濃厚…

大阪・らーめん亀王 〜青春の味はちゃあしゅう麺、大阪・千日前で刻まれた記憶

清風高校の土曜授業が終わると、上本町から自然と足は「らーめん亀王」へ向かった。𠮷野家は清風生で埋め尽くされていたため、選択肢は亀王か伊勢屋の天ぷらうどん。週末のご褒美に瓶のコカコーラと一緒に頼む「ちゃあしゅう麺」は格別で、ラーメンに具は要…

大阪・難波「カフェ英國屋」〜喫茶文化を守り続ける高級カフェの世界

なんば駅周辺を歩いていると、1968年にできた「カフェストリート」と呼ばれる通りに出会う。御堂筋と戎橋商店街を結ぶ石畳の小道で、シックでおしゃれな店が所狭しと並び、歩いているだけでどこか異国を旅している気分になる。 その7年前にできた喫茶店で、…

浪速の胃袋・黒門市場〜カレー、鮮魚、まぐろ、串焼き、大阪の食べ歩き天国

一皿で大阪を知る、ひと串で浪速を感じる。それが大阪・ミナミの中心、中央区日本橋に広がる黒門市場。 東西南北へ“キ”の字を描くように伸びる約580メートルのアーケードには、鮮魚や精肉、青果から惣菜、飲食店まで150~160軒もの店が軒を連ね、食の香りと…

大阪上本町・木村屋〜放課後の合図はピロシキの匂い、ピロマヨという青春のリトマス試験紙

大阪上本町にある「木村屋」というパン屋を知っているかと問われれば、多くの人は首をかしげるかもしれない。しかし、清風学園の出身者に尋ねれば、誰もが間髪を入れずに答える。「ピロシキ」と。 ピロシキは東欧の惣菜パンである。小麦粉を練った生地に豚肉…

千日前『お好み焼き おかる』〜マヨアートと昭和から続く鉄板の芸術

大阪・千日前の路地に暖簾を掲げる「お好み焼き おかる」は、戦後まもなくに創業し、以来ずっと“昔ながら”を貫いてきた老舗である。改装の折にも昭和の香りを残すよう工夫し、ビーバーエアコンなどのレトロな什器をあえて飾って空間の記憶を継承する。 店は…

千日前『作ノ作』がが魅せる浪花とんこつの真髄〜肉もスープも全力投球!

大阪・ミナミの千日前に店を構える「作ノ作」。創業以来10年以上の歳月を重ね、今や浪花とんこつラーメンの名を全国に知らしめる存在となった。店内はカウンター15席のみの小さな空間ながら、昼夜を問わず客足が途絶えない。24時間営業・無休という頼もしさ…

千日前・丸福珈琲店〜道頓堀を支えて一杯、昭和の残り香とともに

大阪・ミナミの千日前に佇む「丸福珈琲店」。創業は昭和九年(1934年)、鳥取出身の伊吹貞雄氏が最初に暖簾を掲げたのは新世界だった。 戦後になって現在の千日前に移り、以来、道頓堀の街とともに歩んできた。パリにムーラン・ルージュがあるように、道頓堀…

「道頓堀 今井」〜黄金の出汁が語る大阪の文化

道頓堀の街並みの中に、ひときわ落ち着いた佇まいを見せるのが「道頓堀 今井」である。もともとの起源は江戸時代の芝居茶屋「稲竹」にさかのぼり、のちに大正期には洋楽器を扱う今井楽器店として道頓堀の文化を彩った。 しかし1945年の大阪大空襲で焼け落ち…

難波の台所『なんばうどん』〜雑踏に消えない灯、昭和が現役で残る一杯

大阪・難波三丁目に暖簾を掲げる「なんばうどん」は、半世紀以上にわたって人々に愛され続けてきた庶民派の名店である。明確な創業年は記録に残っていないが、1970年代前半にはすでに人気を集めていた。立ち食いスタイルから始まり、映写技師だった師匠も仕…

純喫茶アメリカン〜道頓堀に息づく、懐かしさと気品の純喫茶

大阪・なんばの中心に佇む「純喫茶 アメリカン」は、昭和21年に創業した老舗の喫茶店。戦後間もない時代に「美味しい料理で人々を元気づけたい」という祖父母の想いから始まり、現在は三代目がその精神を受け継いでいる。 当初は「花月」という屋号で営業し…

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