「北極アイスキャンデー」は大阪難波の戎橋筋商店街に位置するアイス屋さん。1945年(昭和20年)の創業以来、約80年にわたり「北極」の愛称で大阪の人々に愛され続けている。
創業の背景と名前の由来
創業者の志村秀三氏は、戦中からぜんざいを提供する店を営んでいたが、戦後の暑い夏にぜんざいをそのまま凍らせてアイスキャンデーとして販売したのが始まり。 店名の「北極」は、涼しさを連想させる地名として選ばれたと考えられている。
メニューと製法
創業当初はミルク、あずき、パインの3種類を1本20円で販売していた。 現在では、ココア、イチゴ、抹茶、レモン、オレンジなど多彩なフレーバーを展開。 すべての商品は、創業以来の手作り製法を守り、厳選された原料を使用している。
ミルク
現在は1本170円のミルク。棒は、奈良・吉野の割り箸を使った極細の木材が添えられている。口に含めば、白双糖(しろざらとう)ならではの、すっきりとした甘さがふんわり広がり、後味は驚くほど軽やか。
-24℃で約2時間、丁寧に凍らせたアイスは、シャリッとした歯触りのあと、すっと溶けていく。大阪名物といえば“パンチ”を想像しがちだが、これは真逆。どこまでも優しく、そっと包み込んでくれるような味わい。
夏の日差しの下でも、秋の夕暮れでも、寒い季節にこたつで食べたって、きっと美味しい。そんな“季節を選ばない”懐かしさとやさしさが、この一本にぎゅっと詰まっている。
ココア
昭和21年に誕生した、北極アイスキャンデーの“第二の主役”がココア味。
進駐軍が持ち込んだココアをいち早く取り入れ、昭和の大阪でココア味のアイスキャンデーを販売していた。バニラと並ぶ、当時の“二択メニュー”の一角を担った名作。
ひと口かじれば、どこか懐かしい甘さがやさしく広がる。コーヒーではなく、あえてのココア。苦みより、ぬくもり。都会的な洗練より、情のある甘さ。
それが、大阪という街の人情にぴったり寄り添っている。アイスなのに、なぜか“温かさ”を感じる。そんな一本。
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『月とクレープ。』に寄せられたコメント
美味しいご飯を食べるとお腹だけではなく心も満たされる。幸せな気持ちで心をいっぱいにしてくれる、そんな作品。
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