食いだおれ白書

世界を食いだおれる。世界のグルメを紹介します。孤高のグルメです。

「花丸軒 難波・法善寺店」〜精肉直営の目利きが生んだ浪速とんこつ、24時間、道頓堀の疲れを癒す一杯

大阪・ミナミの法善寺横丁のすぐ近くに暖簾を掲げる「花丸軒 難波・法善寺店」は、精肉業をルーツに持つ株式会社アラカワフードサービスが展開するラーメン店。創業は1978年、養豚場を営んでいた家業から派生して食肉卸売業を立ち上げ、その後「ラーメン豚吉」を皮切りに飲食業へ進出した。

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同社は現在も“すべてはお客様のごちそうさんの一言のために”を掲げ、食肉のプロが選び抜いた素材を活かしたラーメンを提供し続けている。

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法善寺店は千日前商店街の一角、年季の入った外観に「しあわせラーメン」の大きな文字が掲げられ、24時間営業で道頓堀の喧騒を支えてきた。

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店内は17席とコンパクトだが、朝から深夜まで若者や観光客で賑わい、関西弁で迎えてくれるスタッフの声が温かい。非日常感の漂う一杯は、法善寺横丁の風情とともに観光客にも地元客にも愛されている。

しあわせラーメン

看板メニューの「しあわせラーメン」は、豚骨を12時間以上じっくり煮込んだスープに小豆島産の熟成醤油ダレを合わせた浪速スタイルの豚骨醤油。席に腰を下ろすと、店主が「おひとりさん?」と声をかけてくれる。その関西弁の柔らかさがまず一杯の味を形づくる。口に含むとやさしい豚骨の旨味が広がり、九州のようなドギツイ濃さはなく、ほんわかとした軽やかさが特徴だ。

美味しすぎない絶妙な塩梅こそが“道頓堀の味”であり、深夜バスの疲れを癒してくれる。味は季節や時間帯によっても表情を変え、昼と夜、春と秋とでまた違った印象を楽しませてくれる。

チャーシューは精肉直営ならではのこだわりで、三段バラや珍しい部位「トロコツ」を用い、トロリとほどける口どけを実現している。さらに麺大盛無料、ゆで玉子やキムチの無料サービスなど、満足感を高める工夫も人気の理由である。

また「しあわせチャンポン麺」や「トロコツ1本のせラーメン」、定食やギョーザとのセットメニューも充実しており、観光途中の腹ごしらえから深夜の締めまで幅広いシーンで利用されている。外はカリッ、中はふわっと仕上げた自慢のギョーザもお持ち帰りが可能で、花丸軒ならではの味を家庭でも楽しむことができる。

ちゃんぽん麺

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スープは白濁した豚骨に塩が鋭く効いている。レンゲを近づけた瞬間、熱気が顔を包む。ひと口。舌の上で“塩の刃”が走り抜け、次の瞬間、まろやかさがやさしく追いかけてくる。長崎のちゃんぽんではない。大阪のちゃんぽんだ。豚骨塩ラーメンと長崎ちゃんぽんの“あいの子”のような一杯。どこか荒削りで、どこか愛しい。浪速のロックバンド。

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ギョーザは小粒でサクッと軽やか。皮は薄く、噛むと香ばしい音が鳴る。中から溢れるニラとニンニクの香りが一気に立ちのぼる。おやつのようでいて、味はしっかり男前。
『男はつらいよ』に出てくる源公みたいだ。地味だけど、欠かせない。

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焼き飯はパラリと軽く、香ばしい油の香りが立つ。熱々の米粒が口の中で弾ける。ラーメンの脇にありながら、決して脇役にならない。むしろ主役を引き立てる、名バイプレイヤー。川地民夫のように、静かに映画を締める。

花丸軒の魅力は“豚肉を知り尽くした食肉卸の目利き”と“浪速の気風”が融合した一杯にある。法善寺の石畳に寄り添いながら、観光客の記憶にも、地元の人々の日常にも溶け込む存在感を放っている。

店舗情報(難波・法善寺店)

  • 店名:花丸軒 難波・法善寺店
  • 住所:〒542-0076 大阪府大阪市中央区難波1-2-1
  • 電話番号:06-6213-0131
  • 営業時間:24時間営業
  • 定休日:年中無休
  • 最寄駅:大阪メトロ「なんば」駅徒歩5分
  • 席数:17席(カウンター15席、テーブル2席)
  • 禁煙・喫煙:完全禁煙
  • 駐車場:なし
  • 支払い方法:カード可・電子マネー可

主なメニュー:しあわせラーメン(700円)、しあわせチャンポン麺(850円)、しあわせいっぱいラーメン(900円)、トロコツ1本のせラーメン(900円)、シンプルラーメン(550円)、自慢のギョーザ(6個250円~)

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