食いだおれ白書

世界を食いだおれる。世界のグルメを紹介します。孤高のグルメです。

うどん

千日前『松屋うどん』〜安い、旨い、温かい、200円で満たされる幸せ

千日前を歩いていると、ふと道具屋筋に足が向く。食器や調理道具の専門店が並ぶこの通りは、観光客にも料理人にも人気のスポットだ。その一角に、古びた佇まいながらも多くの人を引き寄せる一軒の店がある。「松屋うどん」だ。 外には食券機が設置され、暖簾…

「谷九ふる里」〜夜に咲く朝顔、うどん出汁の香りに、寿司がとける

天王寺七坂のひとつ・源聖寺坂(げんしょうじざか)を登りきると、谷町筋に風が抜ける。その角に、小さな灯がある。 「谷九 ふる里」 古びた黄色い提灯が、朝も夜も変わらずそこにぶら下がっている。文字は薄れ、看板の端は少し黒ずんでいるのに、なぜだろう…

「道頓堀 今井」〜黄金の出汁が語る大阪の文化

道頓堀の街並みの中に、ひときわ落ち着いた佇まいを見せるのが「道頓堀 今井」である。もともとの起源は江戸時代の芝居茶屋「稲竹」にさかのぼり、のちに大正期には洋楽器を扱う今井楽器店として道頓堀の文化を彩った。しかし1945年の大阪大空襲で焼け落ち、…

難波の台所『なんばうどん』〜雑踏に消えない灯、昭和が現役で残る一杯

大阪・難波三丁目に暖簾を掲げる「なんばうどん」は、半世紀以上にわたって人々に愛され続けてきた庶民派の名店である。明確な創業年は記録に残っていないが、1970年代前半にはすでに人気を集めていた。立ち食いスタイルから始まり、映写技師だった師匠も仕…

大阪うどん いなの路〜人情コッテリ、味覚はあっさり、道頓堀に帰ってきた大阪うどん

宗右衛門町を抜け、道頓堀の灯りをたどりながら彷徨う。人で溢れ返る街の喧騒の中、静かに佇むのが「大阪うどん いなの路」である。2022年9月、相合橋商店街に産声をあげたこの店は、かつてなんばグランド花月前にあった老舗「信濃そば」の魂を受け継いでい…

丸亀製麺〜木村拓哉に導かれ、塩魔大王、うどんに還る

ライターになった2017年。理由は思い出せないが、夕食は毎日、新宿・小滝橋通りの丸亀製麺だった。 正社員ではなくアルバイトだったので、仕事は17時まで。空がまだ明るいうちに暖簾をくぐり、必ず「釜玉うどん(並)」を注文する。それが日課。当時は確か、…