
接骨院で腰の治療を終え、さあ帰ろうとしたところで、自転車のタイヤがパンクしていた。すぐ近くの自転車屋さんに駆け込み、修理を依頼。チューブ交換で4,070円。痛すぎる出費。
今日は横浜美術館で散財している。チケット1,800円、図録3,300円、食事代が1,760円と交通費1,360円。合計8,220円。
ブログの収益は1日600円。おまけに「コンビニワイン」のGoogle検索で1位を取っていた記事が検索2位に落ちていた。ジリ貧は続く、どこまでも。
パンク修理には30分かかる。その間に晩ごはんを済ませたい。とはいえ、接骨院に行く前に「まいばすけっと」で買ったチキンカレーとキムチが家にある。それをオランダ産のオレンジワインに合わせる予定だった。
しかし、帰宅して食べれば20時を回ってしまう。そうなれば、横浜美術館のブログが今日中に書き終わらない。どうする・・・と考えていたところ、目の前にラーメン屋があった。悩みながら横断歩道を渡り、店の前へ。

のぼりに「当店おすすめ激旨こだわり味噌ラーメン」の文字。よし、チキンカレーとキムチは明日の朝ご飯にしよう。「今日はヤケ食いだ」と腹をくくって入店。
食券機で「こってり味噌」を探す。1,000円。
が、新千円札が使えない。この新札問題、いつまで続くのか。財布の中を探りながら店内を見回す。客はひとり。ぽっちゃりしたサラリーマンがつけ麺をすすっている。店の至る所に「東京豚骨しょうゆ」の文字。めちゃくちゃ推している。味噌が自慢じゃねーのかよ。しかも、東京豚骨しょうゆなら1000円で大好物の味玉もつく。思考回路がショートしかけるが、それでも意を決して味噌ラーメンを注文。店主はふくよかな体格で、声が驚くほど柔らかい。
風貌にラーメン愛が溢れている。体のサイズから推理するに、超こってり味噌が出てきそうだが、経験上、こういう店主は優しいラーメンを作ることが多い。5分ほど待つと、味噌ラーメンとご対麺。

ん??どう見ても、あっさり。まずはチャーシューを一口。とろける部分と噛みごたえのある部分が共存し良いハイブリッド。メンマはスーパーの味に近いが、決して安っぽくはない。麺は強めの縮れ。コシがしっかりしていて、食べごたえがある。味噌ラーメンは柔らかめが多いが、これくらい弾力があるほうが好みだ。
そしてスープ。見た目通り、すごくやさしい。家庭的な味わいで、少し甘め。信州味噌だろうか。そしてネギが絶妙にキレを生み出し、全体を締めている。
この素朴さ。アンリ・ルソーやアンドレ・ボーシャンの絵。素朴派(パントル・ナイーフ)の味噌ラーメン。まっすぐで温かい。今の自分には、こういうラーメンがありがたい。超絶技巧を凝らした職人ラーメンより、家庭のようなやさしさが欲しい。
ラーメンを食べ終え、自転車を受け取り、夕暮れの新宿を軽やかに走る。財布は一気に軽くなったが、心は少し、持ち上がっていた。
完成した横浜美術館のブログ
ルソーの素朴派に出逢える美術館
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記憶を超えた一杯
モンスターのラーメン「篝」
食の憶い出を綴ったエッセイを出版しました!

『月とクレープ。』に寄せられたコメント
美味しいご飯を食べるとお腹だけではなく心も満たされる。幸せな気持ちで心をいっぱいにしてくれる、そんな作品。
過去を振り返って嬉しかったとき、辛かったときを思い出すと、そこには一生忘れられない「食」の思い出があることがある。著者にとってのそんな瞬間を切り取った本作は、自分の中に眠っていた「食」の記憶も思い出させてくれる。