
埼玉は関東の「うどん県」と呼ばれるほど、香川県に次いで店舗数が全国トップクラス。「秩父そば」のブランドもあり、東京を凌ぐほど麺文化が発達している。
埼玉は車社会であり、ロードサイド型のラーメン店が風物詩。車を走らせていると、思わぬラーメンの名店に出逢ったりする。昨年、訪れた秩父の「サッポロラーメン狸小路」が代表例だ。

2025年5月21日。お世話になった登山家の命日にクライマーの先輩と「満願の湯」に向かった。西大宮から車を飛ばし、昼ごはんに寄ったのが小川町にある「塩そば専門店 麺屋ギャオス」。オープンは2024年2月10日と新しい。ふたりとも醤油ラーメン派だが、たまには気分転換。こんなデッカいQRコード、初めて見た。

店内には怪獣映画『ガメラ』に登場するギャオスの人形が置いてあるが、店名の由来は店主のあだ名。ラーメン屋を開く前の職場で「ギャオス」と呼ばれていたことから、そのまま店名にした。もちろん、元ヤクルトの投手・ギャオス内藤のこと。

そんな遊び心満載の店主なので、ラーメンが来るまでに知恵の輪が解けたら次回のトッピング無料なんて余興もあり。旅ガラスなので先輩との話に花を咲かせたが、常連客ならチャレンジしていた。

注文したのは、塩ラーメン味玉1000円。先輩は味玉抜き。「味玉のないラーメンは、ラーメンと呼べないですよ。なんなら味玉が食べたくてラーメンをついでに食うときもありますから」と言うと、先輩は目を丸くしていた。味玉がないラーメンは、峰不二子の色気がないルパン三世である。
スープは、鯛をベースに鰹、アジなど6種類の魚を合わせた魚介系。そこに、北海道産ホタテの旨味を凝縮したタレ、鰹、ムロアジをブレンドした油を加えている。
麺は、低加水の極細麺ストレート。これが効いており、麺をすすると魚介の旨味が乗る。スープだけすすると、野菜の旨味のような優しさが広がり、違う味わいを愉しめる。太麺が好みだが、味の段差を演出している。
そして、濃厚な味玉が見事。シェリー酒などに漬けているかもしれない。ネギも名脇役。深谷ネギだろうか。ネギの臭みがなく、スープの味にキレを与え、シャキシャキの食感がアクセントになっている。
塩ラーメンの持つ「シンプルだからこそ誤魔化せない」魅力を、丁寧に昇華させた一杯。気持ちよく秩父温泉の「満願の湯」に向かえた。ご馳走様でした。
埼玉のおすすめラーメン
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『月とクレープ。』に寄せられたコメント
美味しいご飯を食べるとお腹だけではなく心も満たされる。幸せな気持ちで心をいっぱいにしてくれる、そんな作品。
過去を振り返って嬉しかったとき、辛かったときを思い出すと、そこには一生忘れられない「食」の思い出があることがある。著者にとってのそんな瞬間を切り取った本作は、自分の中に眠っていた「食」の記憶も思い出させてくれる。