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食いだおれ白書

世界を食いだおれる

深夜食堂

深夜食堂

令和は変な気候が続く。6月になって早々に梅雨入りしたのに肌寒い。5月の半袖が嘘のように、長袖を押し入れから出勤させてしまう。

そんな寒い夜、塩サバと豚汁が食べたくなる。

アパートを出て2、3分も歩けば西新宿のオフィス街。ネオンの灯りに誘われ今から1日を始める東新宿と違い、あと1時間で日付変更線を迎える摩天楼は珈琲ゼリーに変わる。

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喧騒を食べ尽くした西新宿で、深夜の豚汁の誘惑が夜風と共にやってくる。都庁までジョギングすれば罪悪感なんて消える。ナイキのランニングウェアに着替えて向かうのが24時間営業の『小町食堂』

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色を失った西新宿の街の灯。駆け出しのホストだったROLANDが1日を1,000円でしのいでいた頃よく通った深夜食堂

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60以上のお惣菜の中から好きな品を選ふセルフ方式。全部で100万通りの献立ができる。多くが東新宿のネオンに消えていくので、店内は千利休の茶室のようにひっそり。ROLANDが頼んでいたのが豚汁と塩鯖の定食。

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ご飯(小)130円、豚汁160円、塩鯖320円。ハーフにすれば200円。深夜料金10%を加えても429円とワンコインに収まる。親父さんが多めに盛ってくれた豚汁が貧乏時代のROLANDを支えた。

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人は毎日なにかを体内に入れ、消化して忘れていく。しかし、たったひとつのメニューが記憶として生き続けることもある。ROLANDによって、豚汁は孤独のグルメから孤高のグルメに昇華した。勝手ながらひとりのファンとして、時のふりかけを疑似体験させてもらっている。