食いだおれ白書

世界を食いだおれる。世界のグルメを紹介します。孤高のグルメです。

華心苑〜新宿最強の街中華、梁山泊の五目そば

華心苑〜新宿最強の街中華

新宿駅に直結した新宿壱番街(新宿センタービル)に最強の街中華がある。TBSの番組『町中華で飲ろうぜ』でもテレビ東京のドラマ『ザ・タクシー飯店』でも紹介されていない知る人ぞ知る名店。華心苑。

華心苑〜新宿最強の街中華

広東料理と四川料理を中心とした本場の味が楽しめるお店。オフィスビルにある中華料理屋。平日は常連のビジネスマンで溢れ、休日は一見さんで賑わう。料理人も給士さんも全員が中国人。

華心苑のランチメニュー

夜と昼でメニューが異なり、定食や限定メニューはランチしか食べられない。

五目そば880円

華心苑

旨すぎてビックリ。麺類は高級すぎないほうがいい。「五目」という名前がついているが、実際の五目そばの具材は5品以上あり、テキトーさ、いい加減さが魅力。華心苑は具の一つひとつがデカい。それが麺と喧嘩せず仲良し。出汁という産湯につかっているような料理。ラーメン屋ではない店でこそ五目そば。円卓を囲みビールと紹興酒で埋め尽くす。乾杯と爆笑の大音量は労働者の音楽。色とりどりの具材の五目そば、スーラの点描画。

五目そば900円

華心苑〜新宿最強の街中華、梁山泊の五目そば

約1年ぶりの五目そば。価格は20円値上がりし、900円になったが、価値は上昇している。美味しさは変わらない。そして、相変わらず“凄まじい”一杯だ。

中華料理屋のラーメンといえば、「そこそこ旨い」が相場。しかし、華心苑の五目そばはその常識を覆す。ラーメン専門店がこの味を再現するのは不可能。「五目」の次元が違いすぎる。麺やスープの芳醇な香ばしさ、ぷりぷりシャキシャキの具材。高熱の中華鍋を操る技術と、最高の中華を作る腕が必要。

五目たちは、ラーメンの“脇役”ではない。それぞれが独立したスターであり、ラーメンに寄り添う具材ではなく、中華のエースたちが一堂に会した梁山泊。

水滸伝の梁山泊には、宋江をはじめ、林冲など108人の好漢が集った。華心苑の五目そばも、それぞれの具材が絶妙なバランスで共鳴し、全体の旨味を最大化している。

単なる五目そばではなく、108人の好漢が梁山泊で織り成す壮大な物語のように、一口ごとに異なる味わいが楽しめる、圧倒的な完成度の一杯。

新宿のラーメンランキングを作るなら、この一杯は確実に10傑に入る。食べ終えた後、口からこぼれるのは「うまかった」ではない。「凄かった」だ。

きくらげたまご980円

華心苑〜新宿最強の街中華,きくらげたまご980円

昼どきは行列なので14時以降まで空腹とデュエル。たまご炒めはトゥルトゥルの筋斗雲も好きだが、しっかり弾力を出しつつソースの旨味をM&Aする火入れが難しい。そのK点を遥かに越える大ジャンプ(長野五輪の原田雅彦くらい)の美味さ。

ユーリンチー定食980円

華心苑〜新宿最強の街中華,ユーリンチー定食980円

カリカリ、パリパリ、サクサク。いつまでも噛んでいたい麻薬的な食感。残った油淋鶏のタレはご飯にかけるSDGs。豚バラ肉の柚子胡椒パスタを作る予定が、雨なので中止。雨降って地固まるとはこのこと。

上海焼きそば930円

華心苑、上海焼きそば930円

焼きそば=日清UFOで育ったソースまみれの細胞に新しい風を吹かせてくれる。パスタ作りを追求すると、麺は具材を少なくせよ!のベクトルに向かってしまうが、育ち盛りに具沢山は正義。これからもグルメ家ではなく食いしん坊。

中華丼900円

華心苑〜新宿最強の街中華

小雨の新宿。中国の料理人が「中華丼」と名乗る滑稽。中華が中華を演じる。しかし味はどこまでも本物。ご飯を完全に覆い隠すのではなく、勾玉を合わせた陰陽太極図。陰(飯)も陽(具)も強すぎず互いを高め合う。中華の真髄がここにある。熱々の丼をスパートで食い切るため、話し相手はいらない。孤高のグルメこそ中華一番。

野菜タンメン900円

華心苑〜新宿最強の街中華

どこぞのラーメンのように野菜マシマシに見えて完璧なバランス。量も味付けも。生きていると錯覚するほどシャッキシャキの野菜、塩の恵みを全身にまとった中華麺。極上の温泉の中で麺と具がアンリ・ルソーの《ラ・カルマニョール》のごとく輪舞する。西荻窪の「はつね」と比肩。タンメン専門店も兜を脱ぐ旨さ。

牡蠣入り野菜タンメン900円(ランチ)

牡蠣入り野菜タンメン900円(ランチ限定)

冬季限定・ランチ限定の牡蠣入り野菜タンメン。通常の野菜タンメンと同じ900円で、ぷっくりとした牡蠣が4〜5個も入っている。これは圧倒的にお得。

ビジネスマンで賑わう華心苑 なら、ランチ限定にしなくても十分売れそうな気もするが、それもまたお店のこだわりなのだろう。

スープは野菜の旨みが溶け出した深みのある味わい。その中に牡蠣のコクと磯の香りが加わる。 牡蠣の存在感は圧倒的で、どの具材とも混ざり合うことなく、ただひたすらに 牡蠣としての道を貫く。パスタや洋食にも合う万能選手でありながら、和・中華でも確かな個性を発揮する牡蠣。ドル箱スターでありながら名脇役。アラン・ドロンや木村拓哉のような存在。孤高の食材が、野菜たっぷりのタンメンの中で堂々と君臨する一杯

朝からの大雪が雨に変わった。

海鮮タンメン1080円

華心苑〜新宿最強の街中華、海鮮タンメン1080円

1000円のK点越え。野菜と海鮮のマリアージュ。海を感じさせる塩味が麺の波を作り、舌を心地よくサーフィン。波乗りジョニーで一気に平らげる。

大根餅650円

華心苑〜新宿最強の街中華、大根餅

広東料理。初めて知った。米粉、もち粉、大根を水で練って蒸した点心。平凡なのに、なんたる美味しさ、やさしさ。中華=火力全開のボンバーマンというイメージを覆してくれる。中国では旧正月料理にも出されるとか。4000年の歴史。素朴讃歌。

五目冷やし中華1000円

華心苑〜新宿最強の街中華、梁山泊の五目そば

2025年6月4日(水)11時。今ごろ神津島に向かうフェリーに揺られているはずだった。新海誠『天気の子』の舞台巡り、そして天上山に登り東京最後の『登魂日記』を書きたかった。朝7時半に竹芝桟橋に行くと欠航の知らせ。波が高く、海上は荒れ模様。東京は快晴だったのに、海はまったく別の世界。自然の力に、また一つ教えられた気がした。

でも、これで良かったかもしれない。極度の運動不足と腰痛。山に登っていたら、どうなっていたか。「きちんと体調を整えて来年以降にリベンジしなさい」と誰かに言われている気がした。

華心苑〜新宿最強の街中華、梁山泊の五目そば

そんな朝を経て、華心苑へ。冷やし中華が始まっていた。「五目冷やし中華」、1000円。頼んでおきながら、冷やし中華は苦手な料理。酸っぱいタレが、どうにも合わない。漫画『美味しんぼ』では、中華料理じゃなく日本料理だと、海原雄山が怒っていた気がする。でも、華心苑なら一味違う冷やし中華かもしれない。

華心苑〜新宿最強の街中華、梁山泊の五目そば

はい。やっぱり冷やし中華は冷やし中華でした。なんなら他の店よりタレが酸っぱい。でも、具は逸品。蒸し鶏はしっとりと瑞々しく、冷やしトマトは圧倒的な夏感。この両雄は感激するレベル。その美味しさは、冷やし中華のタレが引き上げているのかもしれない。「冷やし中華」という料理がここまで国民に愛されている理由も、少しだけわかった気がした。

華心苑の情報

  • 問い合わせ: 050-5890-7441(予約OK)
  • 住所:東京都新宿区西新宿1-25-1 新宿センタービル B1F
  • 最寄り駅:新宿駅、都庁前、西新宿駅
  • 営業日:月・火・水・木・金・土
  • 営業時間:11:00 - 15:00、17:00 - 23:00
  • 定休日:日曜日
  • 食べログ:中華料理 華心苑 新宿センタービル店 

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