食いだおれ白書

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山形・山寺立石寺グルメ

蔵王の樹氷

蔵王樹氷

名山に囲まれた山形は野方、里方に対して「山方」と呼ばれ、そこから山形になった。山形に来るのは2022年2月。吹雪く蔵王ホワイトアウトのなか登頂して以来。赤湯温泉で食べた龍上海のラーメン、大和屋旅館で飲んだ日本酒・十四代の衝撃は今も忘れない。下山後には沈む夕陽を見ながら芋こんにゃくを食べた。

十四代

2年経った今は登山もやめ、日本酒ではなくワインの研究の日々。まずは過去の回想から始めたい。

赤湯ラーメン龍上海

赤湯ラーメン龍上海

訪れたのは2022年2月なので現状はわからないが、きっと今でも行列を作っているだろう。昭和33年の創業、現在は三代目。

赤湯ラーメン龍上海

赤湯からみそラーメン。生涯でこれほど美味しい味噌らーめんを知らない。船堀にある『大島』の黄金の味噌ラーメンを上回る。赤湯産の唐辛子を使った「辛みそ」。辛味噌を混ぜなくても出汁と麺だけで勝負できる。旨味の雪合戦、いや旨味のスノーモンスターとでも呼ぼうか。口においしく身体が温まるだけでなく本当にすごいラーメンは街と一体化している。カップ麺もあり東京にも支店があるが、半分以下のおいしさ。本当に美味しいラーメンは東京では食べられないことを実感した。

山寺立石寺

山寺立石寺

令和6年7月11日。橋本真也の命日。旅の目的である山形美術館が開くまで松尾芭蕉で有名な山寺立石寺に向かった。JR仙山線。仙台と山形を結ぶ。

山寺駅は山形から20分。古風は残しているが外国人の観光客も多く、山梨の中央線と違って綺麗に整備されている。

8時の開門まで15分以上ある。曇り空で涼しい。助かった。駅の看板には奥之院まで往復2時間とあった。

山寺立石寺

山寺立石寺松尾芭蕉の『おくの細道』に登場する。最も有名な句のひとつ「閑さや岩にしみ入る蝉の声」 を詠んだ場所。

山寺立石寺

8時の開門とともに三百円を払い入山。芭蕉が訪れたのは元禄2年(1689年)7月13日。同じ時期だ。

山寺立石寺

日々の運動量ゼロの肥満に鞭打ちながら登る。曇っていて助かった。晴れていたら倒れている。それにしても何という潤しさ、瑞々しさ。

山寺立石寺

芭蕉が詠んだ場所。そのときは夕暮れ。早朝に蝉の声はなく小鳥の鳴き声が響く。晴れていればミンミンゼミが鳴く。聞こえてくるのは川のせせらぎ。小鳥の鳴き声、境内を掃くホウキの乾いたあと。瞳を閉じて想像の翼を広げ、耳をすませば芭蕉と時空を超えたキャッチボールができる。この山の音だけで十分。大切なのは今。心の中に芭蕉が見た風景はある。閑かさや 岩に沁みいる 山の声

帰りは枝垂れ紫陽花がサヨナラを言ってくれた。さあ、朝メシだ。

対面石(だしそば/芭蕉団子)

朝ごはんは蕎麦を食べたい。山寺立石寺のように崖に聳り立つ。

食堂・対面石。朝8時半から営業してくれている。ありがたい。

川の流れを見ながらの朝食。ちょうど雨が降ってきた。

ラ・フランス100%のジュースで喉をうるおす。

味噌味の「芭蕉団子」。甘さが登山の疲れを癒してくれる。

蕎麦でいちばん好きかもしれない「だしそば」。旅先で野草を摘んで畑から野菜を採ってお茶漬けにしたような。「だしそば」は旅の味がする。東京でも食べたことはあるが、やさしさが違う。最大の調味料である空気が違う。千八百円の豪華な朝食。

駅の途中の茶店ラ・フランスのソフトクリームを買った。これにて登頂。

栄屋本店/山形市(冷やしラーメン)

栄屋本店(冷やしラーメン)

山形といえば冷やしラーメンの発祥の地。「だしそば」だけでなくラーメンも強い。山形美術館から歩いて30分ほど。天気が良く汗だく。絶対に冷やしラーメンを食べる。

栄屋本店(冷やしラーメン)

有名人のサインが所狭しと並ぶ。16時前だから空いている。昼時は行列必至。

栄屋本店(冷やしラーメン)

創業92年。元祖冷やしラーメン。もとは蕎麦屋だったがお客さんから「冷たい中華そばは作れないか」と言われ3年かけて開発。72年間変わらぬ味。東京で食べる冷やしラーメンも美味しいが、やさしさが違う。甘い出汁が麺やメンマに沁みて夏を溶かす。これぞ夏ラーメン。正真正銘の冷やし中華

平田牧場/JR山形駅(とんかつ)

平田牧場/JR山形駅

深夜バスに乗る前の最後の晩餐。JR山形駅に平田牧場はある。

平田牧場/JR山形駅

形県酒田市で育てられた金華豚ヒレカツ2,200円。日本酒が千円ほどしたので断念してコーラ。

平田牧場/JR山形駅

山形県庄内産の藻塩をつける。大切に育てられたことが歯応えと脂身でわかるストレスレスな弾力。これで充電完了。我が山形に一片の悔いなし。山形は「また行きたい」ではなく、「また帰りたい」と思う場所。