河と坂の釜山。ネパールのカトマンドゥを都会化したような街並み。新しい過去と懐かしい未来がある。なんて胸を締め付ける風景なんだ。台北の空気、道頓堀の雰囲気にも似ている。この地は絶対に野球場が似合う。野球は流れ者のスポーツ。野球場は河のほとりにできる。
釜山で最初に訪れたかったのが、映画『友へチング』で親友ふたりがコプチャンを食べた店。地図を見ると宿泊している西面(ソミョン)のホテルから徒歩20分ちょっと。西面(ソミョン)駅から電車で行くなら、1号線の多大浦海水浴場(タデポヘスヨクチャン)行きに乗って범일凡一(ボミル)で降りる。
ホテルを出ると釜山港がある南のほうへ東川沿いを歩く。途中の地下道では思わぬ名画たちのパブリックアートに出会える。
「七星(チルソン)食堂 本店」があるのは門峴洞(ムンヒョンドン)ホルモン横丁。大阪ミナミの下町のような場所。夏の夕暮れが作りだす雰囲気。本店の目の前に2号店があるが、店の看板ですぐにわかる。韓国語ではチルソンシッタン ポンジョム / 칠성식당 본점。
まだ夕方の16時。他にお客さんはいない。年配の男性と女性が話している。「日本から来ました」と翻訳アプリを見せると、男性が韓国語で話しかけてきた。日本語も英語も通じない。どうやら1人前9000ウォン(970円)を最低3人前からだと言っているらしい。「コプチャン?」と聞くと、「コッチャン」と言う。どっちでもよくなりOKと伝えると、また何やら韓国語。
翻訳アプリに「スピーク」と言うと、「ビールか焼酎はどうする?」と訊いたようだ。「ジンロ」と言うと「チャミスル」と返された。「チャミスル、OK」と伝えて席に着く。すると男性が外へ出て帰っていった。どうやら常連客のようだ。店の人間じゃない人が接客するとは。待っていると若い女性(といっても50代)が帰ってきた。
何はともあれ、ようやく『友へ チング』と同じものが食べられる。2001年公開だから23年前。まだ大切にしているのが嬉しい。釜山にもコロナ禍はあったと思うが、まだ残っていてくれた。
さすが韓国。前菜が豪華。特に強烈なのは生ニンニク。すごい文化だ。人口が日本の半分しかないが、遥に元気な理由が納得。
とうとうご対面。オモニが焼いてくれるコプチャン(豚のモツ焼き)。いや美味い。日本でも食べられる味かもしれないが、やはり来てよかった。『友へ チング』たちの4人のように、赤いカンヴァスに永遠の夢を描くコプチャン。遠くに来すぎてよかった。
ニンニク、サンチュを包んで食べると味が一足飛びでアップ。そこにチャミスルが加わる。残照に輝く祝杯。マリアージュを超えたチング。マシッソヨすぎて3人前3万2千ウォン(3400円)もペロリ。完全に酩酊しながら千鳥足でホテルに戻る。
日本語も英語も通じない釜山@ディープ。韓国語を勉強したい。映画について話してみたい。坂の夕景はどこよりも美しかった。
店名 | 七星食堂 本店 |
住所 | 釜山広域市 南区 門峴洞 837-2 (부산광역시 남구 문현동 837-2) 釜山広域市 南区 チゲコル路 7 (부산광역시 남구 지게골로 7) |
電話番号 | 051-632-0749 |
営業時間 | 11:00~翌4:00 |
休業日 | 年中無休 |
日本語 | 不可 |
関連サイト | なし |
釜山おすすめグルメと温泉