
午前6時、京都の朝が動き出す。真冬の凍てつく空気の中でも、真夏の容赦ない日差しの下でも、ここには変わらない風景がある。京都駅前、『第一旭』の行列。時間が止まることのない店。暖簾が揺れるたびに、ラーメンを求める人々の熱が交錯する。

君は第一旭を知っているか?吉岡里帆が、まだ東京と京都を深夜バスで往復していた頃、必ず立ち寄った店。夜を越え、疲れを抱え、冷え切った身体をあたためる朝の一杯。その丼の中には、ただのスープや麺ではなく、旅の疲れ、未来への不安、ささやかな希望が詰まっていたに違いない。
物語が詰まった店は特別な味がある。誰かの記憶の断片、人生のワンシーン、色んなドラマ、憶い出を、おすそ分けしてもらう。京都の朝に、そんな余韻を感じることができるのは、第一旭という店の持つ、特別な力に他ならない。

創業は1947年。戦後間もない頃、この街の人々を支えた味が、今も変わらず丼の中にある。京都産の醤油、九条ネギ、深みのあるスープ。湯気の向こうから聞こえてくる「おおきに〜」の京都弁が、ラーメンの味に温もりを彩る。ラーメン940円。

新宿にも支店がある。しかし、高倉塩小路の行列と、「おおきに」の一言が染み込んだ京都の空気は、何ものにも代えがたい調味料。単なる味の問題ではない。そこで過ごした時間が、記憶の奥深くに刻まれる。
丼を前にすると、かつての自分を思い出す。立命館大学で週刊プロレスの記者を夢見ていた頃。北大路にあった極真空手の道場に通い、何かを掴みたくて、焦りながらもがいていた。そんな時間さえも、このスープが優しく包み込んでくれる。時間のふりかけ。ラーメンというものは、いつだってそういう存在なのだ。
第一旭の本店が新宿の地下に出現

2025年の2月末に1週間限定で新宿地下ラーメンに第一旭の本家が登場。

本店とは違う、東京の第一旭。新宿地下で京都を探している自分が、なんだか滑稽に思えてくる不思議な体験。新宿の第一旭の味やいかに。
第一旭 本店
- 住所:京都府京都市下京区東塩小路向畑町845
- 電話:075-351-6321
- 席数:31席。カウンター3席、テーブル28席(7卓)
- 営業:6:00~25:00
- 定休:木曜日
- 支払い:現金・クレジットカード・電子マネー・QRコード決済対応
- 駐車場:2台
第一旭のメニュー
- 特製ラーメン 1,140円
- ラーメン 940円
- メンマラーメン 1,040円
- チャーシュー麵 1,090円
- ミニラーメン 790円
- 学割ラーメン 790円
- 肉なし(野菜入)ラーメン 840円
- 肉多め +230円
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『月とクレープ。』に寄せられたコメント
美味しいご飯を食べるとお腹だけではなく心も満たされる。幸せな気持ちで心をいっぱいにしてくれる、そんな作品。
過去を振り返って嬉しかったとき、辛かったときを思い出すと、そこには一生忘れられない「食」の思い出があることがある。著者にとってのそんな瞬間を切り取った本作は、自分の中に眠っていた「食」の記憶も思い出させてくれる。