
「鯛出汁ラーメン」。この言葉には、食欲をくすぐる魔力がある。だが同時に、ラーメン界では“扱いが難しい荒馬”でもある。これまで真に満足できる一杯に出逢えていない。
鯛の出汁は繊細で上品。ただ、鶏ガラや豚骨のような強い動物系スープと比べると、味の輪郭が柔らかく、パンチが弱い。脂のコクや厚みも控えめでボディに欠ける。塩や醤油とのバランスも難しい。
それを知りながら懲りずに食指が動くのだから、やはり鯛出汁はラーメン界のブラックホールである。

訪れたのは錦糸町PARCOの1階、フードコートにある真鯛らーめん『麺魚』
2016年1月に錦糸町の本店がオープン。食べログ100名店とやらにも選ばれた人気店。
2025年6月23日(月)正午。師匠と美術論を交わし、腹が猛烈に減った。このまま新宿まで帰る気力がなく、初訪問。お昼時だが空いている。

真鯛らーめんに味玉を追加。1430円。275円もする味玉は初めてだ。
出汁は愛媛県宇和島産の真鯛を使用。真空低温調理チャーシューを桜で燻したローストビーフのような焼豚も見事。
そして、麺は北海道産小麦100%使用した石臼挽き全粒粉。ここが運命の分かれ道。
全粒粉はコシがなく、プツンと切れる食感。これが好きな人も多い。しかし、麺の力が弱く、健康志向やダイエット志向の麺。パスタには絶対に使わない。鯛出汁の上品さには相性が良いが、物足りなさが残る。これは店が悪いのではなく、ラーメンに求めるものが違うだけ。
だが明確に、味玉は300円近くする理由は見つからず、頭に?が浮かんだ。海苔やほうれん草、チャーシューが絶品なだけに惜しい。柚子もいい仕事をしている。この店のMVPは麺でもスープでもなく具材。
真に感動する鯛出汁ラーメンを探す旅は続く。
営業時間 : 11時00分~23時00分(最終注文22時30分)
定休日:無し
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『月とクレープ。』に寄せられたコメント
美味しいご飯を食べるとお腹だけではなく心も満たされる。幸せな気持ちで心をいっぱいにしてくれる、そんな作品。
過去を振り返って嬉しかったとき、辛かったときを思い出すと、そこには一生忘れられない「食」の思い出があることがある。著者にとってのそんな瞬間を切り取った本作は、自分の中に眠っていた「食」の記憶も思い出させてくれる。