眠らない街・新宿には昼夜問わず、世界中から多くの人が訪れる。観光や仕事、早朝に訪れる人も少なくない。マクドナルドなど24時間営業のファストフードがあるのでモーニングには困らないが、チェーン店以外の朝ごはんも食べてみたい。そんな人のために、12年間、新宿に暮らして食べ続けた新宿駅の周辺で食べられるモーニング(朝ごはん)を紹介する。
- 新宿・思い出横丁「かめや」:─日の始まりに沁みる、江戸の蕎麦
- 新宿・思い出横丁「岐阜屋」:朝9時から、熱気とやさしさの中華食堂
- カレーハウス11イマサ:一日が始まる朝カレーの聖地
- 歌舞伎町「焼きそば かぶきち」:夜明けの街で食べる、日本一の焼きそば
- 新宿センタービル「カフェ・ハイチ」:ハイチ珈琲とモーニング
- 新宿「舎鈴」:朝7時半から啜れる、やさしい煮干しの一杯
- 新宿壱番街「おむすび 米屋の太郎」:握りたてで始まる、やさしい朝
- 西新宿「小町食堂」:朝の胃袋を満たす町の台所
新宿・思い出横丁「かめや」:─日の始まりに沁みる、江戸の蕎麦

新宿駅西口から徒歩数分、戦後の屋台文化が息づく思い出横丁の十字路に、「かめや」はある。昭和46年創業、カウンターわずか8席の小さな立ち食い蕎麦店。24時間営業(日曜定休)で、夜明け前から労働者や飲み明けの人々が吸い寄せられるように暖簾をくぐる。朝の「かめや」は、まだ街が目覚めきらない時間に、温かい湯気とつゆの香りで迎えてくれる特別な場所だ。

名物は「元祖 天玉そば」。濃い口のつゆに揚げたての天ぷら、半熟の温泉卵がとろりと絡み、眠気も胃袋も一気に目を覚ます。関西出身者なら驚くほどの濃さと甘じょっぱさだが、それが東京の朝のエネルギー。食べ終わる頃には体の芯から温まり、足取りが軽くなる。

暑い季節なら「冷やし天玉そば」や「冷やしきつねそば」もおすすめ。揚げたて天ぷらの熱と、冷水で締めた蕎麦の涼が同居する一杯は、朝から新宿らしいカオスを味わえる。油揚げの甘みと温泉卵のまろやかさが優しく広がる「冷やしきつねそば」は、ひんやりしつつも心がほぐれる。

そして、シンプルにいくなら「かけそば」。390円という最安メニューながら、立ち上る湯気と黒いつゆが朝の目覚まし時計代わりになる。甘く濃い味が胃袋をたたき起こし、「さあ今日も働くぞ」という気分に切り替わる。
新宿の朝ごはんは数あれど、「かめや」の一杯には、半世紀の歴史と街の空気が染み込んでいる。早朝、新宿を歩く機会があるなら、ぜひ暖簾をくぐってみてほしい。きっとその日一日の景色が、少し鮮やかに変わるはずだ。
かめやの店舗情報
- 店名:かめや 新宿店(思い出横丁)
- 住所:東京都新宿区西新宿1丁目2-10
- アクセス:JR新宿駅西口 徒歩3分
- 営業時間:24時間営業
- 定休日:日曜日
- 電話番号:03-3344-3820
新宿・思い出横丁「岐阜屋」:朝9時から、熱気とやさしさの中華食堂

新宿西口の雑踏の中、昭和のぬくもりをそのまま残す「思い出横丁」。その中ほどで、朝9時に暖簾を掲げる中華食堂がある。1947年創業の老舗「岐阜屋」だ。戦後の闇市で屋台から始まり、岐阜出身の店主の名を冠したこの店は、ビルが建ちネオンが灯るようになっても変わらぬ味と雰囲気を守り続けてきた。

朝の岐阜屋は、夜の喧騒が引いた路地に、湯気と中華鍋の音が響く時間帯。出勤前のサラリーマン、常連の地元客、早起きの観光客が肩を並べ、温かい麺や炒め物を頬張っている。一番人気の朝メニューは、やさしい醤油スープと香ばしい縮れ麺が体を起こしてくれる「ラーメン」

軽やかな「チャーハン」と組み合わせれば、腹持ちも抜群だ。ふわふわ卵とコリコリ木耳の「木耳玉子炒め」も朝にぴったり。優しい塩味と野菜の歯ごたえが、眠気を溶かす。

肌寒い朝には「もやしそば」もおすすめ。もくもくと湯気を立てながら運ばれてくるその一杯は、あっさりスープとモチモチ麺が胃袋をやさしく満たし、出勤前のエネルギー補給に最適だ。
岐阜屋は、急いで食べても、ゆっくり味わっても、なぜか心が落ち着く場所。昭和から続くその温もりは、朝の新宿にとって欠かせない景色のひとつだ。
「なにがあっても開いている」という安心感とともに、今日も路地の真ん中で一日が始まっていく。
岐阜屋の店舗情報
- 店名:岐阜屋(ぎふや)
- 住所:東京都新宿区西新宿1-2-1
- アクセス:JR新宿駅西口から徒歩3分
- 営業時間:9:00〜翌1:00(日〜木)、9:00〜翌2:00(金・土)
- 定休日:無休
カレーハウス11イマサ:一日が始まる朝カレーの聖地

新宿駅の駅構内、京王モール内という抜群のアクセスに店を構える『カレーハウス11イマサ』。1964年創業の老舗カレー専門店であり、新宿という街の変遷とともに歩んできた名店である。

朝7時から営業しており、忙しいビジネスパーソンや旅人の胃袋を、半世紀以上にわたり温かく満たし続けている。

おすすめは、朝にぴったりな「チキンカレー」。まろやかで甘口のルーは、トマトやチャツネの甘みを生かし、パプリカや玉ねぎが優しい風味を引き立てる。しっとりと煮込まれたチキンが、静かな朝にじんわり染み渡る一皿。彩り豊かなレトロポップな皿が、気持ちまで柔らかくしてくれる。ラッシーと一緒に楽しめば、甘みと辛みの対比が絶妙な朝のリズムを生む。
「朝カレーはここに限る」。そう言い切れる理由が、この店にはある。昭和から令和へと続く味の記憶。今日という一日を、やさしく、そして力強く始めさせてくれる。
カレーハウス11イマサの店舗情報
- 店名:カレーハウス11イマサ
- 住所:東京都新宿区西新宿1丁目1番地 新宿駅構内 京王モール
- アクセス:JR新宿駅西口から徒歩1分
- 営業時間:7:00〜22:00
- 定休日:無休
歌舞伎町「焼きそば かぶきち」:夜明けの街で食べる、日本一の焼きそば

新宿駅東口から徒歩3分、TOHOシネマズのすぐ前。赤提灯が灯る「焼きそば かぶきち」は、眠らない街・歌舞伎町で24時間営業を続ける焼きそば専門店だ。夜の繁華街で飲んだ後の締めとして知られているが、実は朝ごはんにも最高の一皿がここにある。
朝の歌舞伎町は、まだネオンの余韻が漂い、行き交う人も少ない時間。そんな空気の中、鉄板の上で焼ける香ばしいソースの匂いに誘われて席に着く。

看板メニューの焼きそばは、外はカリッと焼かれたストレート麺に、噛むほどに芯のある歯ごたえ。シャキシャキのニラが食欲を刺激し、中央に落とされた生卵が全体をまろやかにまとめる。朝の体にじんわりと染み込み、目も頭も冴えてくる。
並盛でもしっかり食べ応えがあり、胃袋とエネルギーを一気に満タンにしてくれる。朝からガッツリ派にはぴったりのパワーメニューだ。
夜の喧騒を知る店で、朝の静けさを味わいながら日本一の焼きそばをすする。それは、歌舞伎町ならではの贅沢な朝の過ごし方だ。
かぶきちの店舗情報
- 店名:焼きそば かぶきち 歌舞伎町店
- 住所:東京都新宿区歌舞伎町1-14-6 第21東京ビル 1F
- アクセス:JR新宿駅東口 徒歩約3分
- 営業時間:24時間営業り
- 定休日:無休(年中無休)
- 電話番号:050-5492-3339
新宿センタービル「カフェ・ハイチ」:ハイチ珈琲とモーニング

新宿駅から少し歩き、高層ビル街の中にひっそりと佇む「カフェ・ハイチ」。赤提灯やネオンの街とは無縁の、落ち着いた壁の色とアンティークな木のテーブルが迎えてくれる。

外の喧騒とは切り離された空間で、朝9時から静かなモーニングを楽しめる、数少ない喫茶店だ。平日限定のモーニングは、トーストと卵料理を中心にA〜Eセット。

定番のAセットは、ゆで卵とジャムトーストの組み合わせ。甘さと塩気がやわらかく口の中で溶け、バターの香りが一日の始まりを優しく彩る。

Bセットのスクランブルエッグは、ふわっとした食感とバターの香りが、眠気をゆっくりと解きほぐしてくれる。Cセットは目玉焼きが主役。黄身を崩せば、朝の時間がほんのりと温まる。
名物のハイチ珈琲は、深い苦味とコクが、トーストの甘さや卵のまろやかさを引き立て、口の中をすっとリセットしてくれる。コーヒーの香りが、これから始まる一日に静かな自信をくれるようだ。
新宿で、ほんの15分だけでも静かな朝を過ごしたい。そんなとき、カフェ・ハイチのモーニングは格別だ。コーヒーの湯気に包まれながら、外の喧騒を忘れる。扉を開ければ、また街は騒がしい。でも、その前にひとときだけ、静寂を味わえる。
カフェ・ハイチの店舗情報
- 店名:カフェ・ハイチ
- 住所:東京都新宿区西新宿1-25-1 新宿センタービル MB1F
- 営業時間:月〜金 9:00〜21:00(L.O. 20:30)/土日祝 11:00〜20:00(L.O. 19:30)
- 定休日:不定休
新宿「舎鈴」:朝7時半から啜れる、やさしい煮干しの一杯

新宿センタービル地下、新宿壱番街の一角にある「舎鈴(しゃりん)」は、つけ麺で有名な六厘舎の系列店。平日は朝7時30分から営業し、出勤前に立ち寄れる数少ないラーメン店だ。

朝限定の「朝ラーメン」は440円。具材は最小限、スープは煮干しの香りが仄かに漂うあっさり塩味。眠気の残る体に、ゆっくりと染み込むやさしさがある。油の重さはなく、口当たりはすっきり。それでもしっかりと旨味があり、仕事前の胃袋をやさしく起こしてくれる。
シンプルゆえに、途中で一味唐辛子をひと振りすれば、眠気を振り払う刺激的な一杯に変化するのも楽しい。朝の静かなカウンターで麺をすすり、温かいスープを飲み干せば、心も体もウォームアップ完了だ。
「舎鈴」の朝は、豪華さよりも“ちょうどよさ”。早朝の新宿で、無理なく食べられる一杯を求めるなら、ここは間違いなく候補に入る。
舎鈴の店舗情報
- 店名:味噌ラーメン 百庵(ももあん)
- 住所:東京都新宿区西新宿6-16-12 第一丸善ビル 1F
- アクセス:都営大江戸線「都庁前駅」より徒歩5分/東京メトロ丸ノ内線「西新宿駅」より徒歩7分
- 営業時間:月〜金:11:00〜15:00/17:00〜21:00、土:11:00〜15:00
- 定休日:日曜・祝日
新宿壱番街「おむすび 米屋の太郎」:握りたてで始まる、やさしい朝

新宿センタービル地下1階に2025年2月にオープンした「おむすび 米屋の太郎」は、コメダ珈琲が手がける新業態。注文を受けてから結ぶおむすびは、ふっくら握られ、ひと口ごとに米の甘みがほどける。海苔は伊勢湾の鬼崎産優等級を使用し、噛めばやわらかく米と一体になる。

朝からしっかり食べたい日は、併設の「コメダ和喫茶 おかげ庵」7時営業を活用して、おにぎりと麺を組み合わせたセットを。紅しゃけやおかかと、湯気立つきしめんの組み合わせは、冷えた体をやさしく温めてくれる。

軽めに済ませたいなら、塩むすびや日高昆布、明太子といった定番を単品で。いずれも具と米のバランスが絶妙で、握りたてならではのほぐれ感が朝の口に心地よい。赤だしの豚汁や漬物を添えれば、朝の小さな定食が完成する。
豪華な具材よりも、手の中に収まる素朴さが魅力。通勤前の短い時間でも、握りたての温もりとやわらかな香りが、新宿の朝をやさしく整えてくれる。
おむすび 米屋の太郎の店舗情報
- 店名:おむすび 米屋の太郎 新宿センタービル店
- 住所:東京都新宿区西新宿1-25-1 新宿センタービル 地下1階
- アクセス:JR新宿駅西口 徒歩5分/都営大江戸線 都庁前駅 徒歩2分
- 営業時間:8:00〜20:00(2025年2月22日〜3月2日は10:00〜19:00)
- 定休日:年中無休
- 電話番号:03-6258-1841
西新宿「小町食堂」:朝の胃袋を満たす町の台所

都庁前の高層ビル群の足元に、夜明け前から灯る“町の台所”。「小町食堂」は、24時間営業・年中無休。深夜の酔客や残業帰りのサラリーマンを支えてきたが、実は朝ごはんの隠れた名所でもある。
入店すれば、60種類以上のお惣菜がずらりと並ぶセルフ形式。塩サバと具だくさんの豚汁、ご飯を組み合わせれば、理想的な和朝食が500円台で完成。秋田県大潟村から毎日直送されるあきたこまちの甘み、脂の乗ったノルウェー産塩サバ、そして野菜たっぷりの濃厚豚汁が、眠った体をやさしく目覚めさせる。

温かなハムエッグをご飯にのせ、ソースをかけて頬張る「裕ちゃんライス」も朝向きの一品。昭和の撮影所で生まれた男飯が、今もこの店で現役だ。

健康志向なら、16穀米に卵焼きやスタミナまぐろ(納豆・とろろ・オクラ入り)を添えるセットがおすすめ。ねばねば食材が免疫を後押しし、1日を軽やかにスタートできる。早朝は人通りも少なく、店内には新聞片手の常連や、夜勤明けの作業員が静かに朝食をとる姿。「食べること」だけでなく、「食堂にいる時間」までも味わえる。そんな朝が、ここにはある。
小町食堂の店舗情報
- 店名:西新宿 小町食堂
- 住所:東京都新宿区西新宿6丁目25−16
- アクセス:東京メトロ丸ノ内線 西新宿駅1番口または2出口より徒歩約6〜7分、都営大江戸線 都庁前駅からも徒歩約7分
- 営業時間:24時間営業(年中無休)
- 定休日:なし/年中無休
- 電話番号:03-6304-5360
朝ごはんの憶い出
新宿最強グルメマップ
新宿おすすめランチ
新宿・思い出横丁のおすすめ名店
新宿のおすすめ中華
新宿のおすすめラーメン
新宿おすすめカレー
新宿おすすめイタリアン
新宿おすすめ寿司・海鮮
新宿うどんの名店
新宿センタービルのグルメたち
食の憶い出を綴ったエッセイを出版しました

『月とクレープ。』に寄せられたコメント
美味しいご飯を食べるとお腹だけではなく心も満たされる。幸せな気持ちで心をいっぱいにしてくれる、そんな作品。
過去を振り返って嬉しかったとき、辛かったときを思い出すと、そこには一生忘れられない「食」の思い出があることがある。著者にとってのそんな瞬間を切り取った本作は、自分の中に眠っていた「食」の記憶も思い出させてくれる。
