食いだおれ白書

世界を食いだおれる。世界のグルメを紹介します。孤高のグルメです。

新宿のおすすめ中華〜人生を変えた“路地裏グルメ”4選、鉄鍋の向こうに、新宿があった

唐安楼(トウアンロウ)新宿の町中華

奈良から新宿に上京した2013年、今はなき中華料理屋が夕方から300円弁当を売り出していた。昼に売れ残ったものを弁当箱に詰め込んだもの。本格中華の味を、ボリュームたっぷりに味わえる。ライターの仕事を探して就活をするものの、どこも採用してくれず、7ヶ月間ニートだった身を救ってくれたは新宿の中華だった。

あれから12年。いくつもの中華を食べ、街の表情も少しわかるようになった。おすすめの新宿の中華を新宿駅から近い順に紹介する。

【華心苑】〜新宿駅直結、隠れた“最強”の街中華

華心苑〜新宿最強の街中華

新宿駅西口から地下通路を通ってすぐ、新宿センタービル地下の「新宿壱番街」に佇む、知る人ぞ知る中華料理店。それが『華心苑』。

華心苑〜新宿最強の街中華

テレビや雑誌ではほとんど紹介されていないが、平日は近隣のオフィスワーカーで満席、週末は噂を聞きつけた一見客で賑わう“最強の街中華”だ。店内は気取らない雰囲気ながら、本場・中国出身の料理人とスタッフが織りなす料理はどれも本格派。広東料理と四川料理を軸に、麺類から炒め物、丼物まで豊富なメニューが揃う。

華心苑

おすすめは「五目そば」。ラーメン屋では出会えない中華鍋の火力と技術が生んだ一杯。香ばしいスープに具材がたっぷり、“梁山泊”のような豪華な一杯。具材はそれぞれが主役級の存在感で、ただの「五目」では収まりきらない旨味の競演が楽しめる。

華心苑〜新宿最強の街中華

そのほかにも、「きくらげたまご」の絶妙な火入れ、「ユーリンチー定食」のやみつき食感、「野菜タンメン」の絶妙な塩加減と野菜のシャキシャキ感など、何を頼んでもハズレなし。

牡蠣入り野菜タンメン900円(ランチ限定)

ランチ限定の「牡蠣入り野菜タンメン」や、夏季限定「五目冷やし中華」など、季節の魅力も押さえている。

本格中華をリーズナブルに楽しみたいなら、間違いなく候補に入る一軒。新宿駅直結というアクセスの良さも相まって、毎日でも通える名店である。

店舗情報

  • 店名:華心苑(かしんえん)
  • 住所:東京都新宿区西新宿1-25-1 新宿センタービル MB1F
  • アクセス:JR新宿駅西口から徒歩5分
  • 営業時間:月〜金:11:00〜15:00/17:00〜23:00、土:11:30〜15:00/17:00〜22:00
  • 定休日:日曜・祝日

【岐阜屋】〜昭和の空気が息づく、朝9時から飲める中華食堂

岐阜屋・新宿・思い出横丁

新宿駅西口を出てすぐ、昭和の風情を色濃く残す「思い出横丁」の中ほどに、朝9時から暖簾を掲げる名物中華がある。それが『岐阜屋』。創業は昭和22年(1947年)、終戦直後の闇市からスタートした歴史を持ち、岐阜出身の店主の名を冠したこの店は、70年以上もの間、新宿の街とともに生きてきた。

新宿・思い出横丁『岐阜屋』地球の重力と、胃袋直行

時代が移り、街が変わっても、岐阜屋のスタイルは変わらない。店内にはサラリーマンや地元民、外国人観光客が肩を寄せ合い、朝からラーメンやビールを楽しむ光景が広がる。雑多でにぎやか、でもどこか心落ち着く雰囲気が魅力だ。

岐阜屋・新宿・思い出横丁

看板メニューの「ラーメン」は、焦げ香る醤油スープに縮れ麺、海苔、メンマ、もやしがのったシンプルな一杯。だがその中に、歴史と温かみがじんわりとにじむ。

岐阜屋・新宿・思い出横丁

ふわりと仕上げた「チャーハン」や「餃子」、優しさが染み渡る「木耳玉子炒め」など、どれも気取らず、どこか懐かしい味わい。

新宿・思い出横丁『岐阜屋』地球の重力と、胃袋直行

深夜にも早朝にも営業しているため、ふと訪れたくなる瞬間がある。「もやしそば」や「シューマイ」の湯気に包まれる時間は、新宿の喧騒の中でひとときのやさしさを与えてくれる。

いつ行っても開いている、何があっても変わらない。岐阜屋は、新宿という街の懐の深さそのもの。時代に流されず、ずっとそこにいてくれる、心のよりどころのような中華食堂である。

  • 店名:岐阜屋(ぎふや)
  • 住所:東京都新宿区西新宿1-2-1
  • アクセス:JR新宿駅西口から徒歩3分
  • 営業時間:9:00〜翌1:00(日〜木)、9:00〜翌2:00(金・土)
  • 定休日:無休

【唐安楼】〜多国籍な街角に灯る、“やさしさ”の町中華

唐安楼(トウアンロウ)新宿の町中華

JR大久保駅北口を出て、大久保通りを中野方面へ歩くと、韓国、ネパール、インドなど多彩な文化が混じり合うにぎやかな街並みの中に、ふと目に入る赤い看板。そこに静かに佇むのが『唐安楼(トウアンロウ)』。異国の食堂を思わせる外観とは裏腹に、地元の人々に寄り添い続ける、生活の一部のような町中華だ。

白いタイル張りのビルの一角に構えるこの店は、上京してきたばかりの人、働き始めたばかりの若者、あるいは異国で生きる外国人たちの「日常」を支える場所。店内には年季の入ったテーブルとビニールクロス、厨房から聞こえる中国語が響く。決して派手ではないが、その佇まいは確かに記憶に残る。

唐安楼(トウアンロウ)新宿の町中華,

おすすめの「ホイコーロー定食」は、シャキッと炒められたキャベツとピーマン、厚切りの豚肉がごはんを進ませる鉄板の味。

唐安楼(トウアンロウ)新宿の町中華

さらに「カレー」や「魯肉飯」など、中華の枠を超えた料理も揃い、いずれも手作りの温もりが感じられる。スパイスで押すのではなく、じんわりとした旨味が広がる“やさしい”味わいだ。

唐安楼(トウアンロウ)新宿の町中華

特筆すべきは、週替わり定食が昼夜問わず注文できる柔軟さと、日常にそっと寄り添う空気感。テイクアウトもできるが、やはりお店で味わいたい。急いで食べていた常連に店主がかけた「アワテナイデ、ユックリタベテネ」というひと言に、この店の本質が表れている。

唐安楼は、にぎやかな街の喧騒の中で、心が休まる数少ない場所。町中華という言葉が都会に似合わないなら、“都市のオアシス”と呼ぶのがふさわしい、そんな店である。

  • 店名:唐安楼(とうあんろう)
  • 住所:東京都新宿区百人町1-24-10 丸正食品総本店ビル 1F
  • アクセス:JR大久保駅 北口から徒歩3分/JR新大久保駅から徒歩5分
  • 営業時間:11:00~24:00(L.O.23:30)
  • 定休日:無休

【江南ラーメン】〜百人町の深夜を照らす、“静かなる夜更け中華”

江南ラーメン 新宿・百人町の灯り

新宿西端、百人町。ネオンの喧騒がすっと引き、静けさが戻りはじめる小滝橋交差点近くに、赤い提灯を灯す一軒の中華食堂がある。それが『江南ラーメン』。街の余白にそっと寄り添うように営業を続ける、深夜型の街中華だ。

江南ラーメン 新宿・百人町の灯り

営業は18時から翌3時まで。飲み終わりの一杯でも、夜勤明けの腹ごしらえでも、さりげなく迎え入れてくれる。店を訪れるのは、水商売や医療関係者、接骨院の先生や深夜作業帰りの地元民など、夜の街を支える人たち。誰にとっても“おかえり”と言ってくれるような安心感がある。

江南ラーメン 新宿・百人町の灯り

おすすめは「カレー炒飯」。しっとりとした米に奥行きのあるカレーの香りが優しく広がり、まさに“味のシルクロード”とでも呼びたくなる深みがある。

江南ラーメン 新宿・百人町の灯り

餃子やバンバンジーといった定番も、どこか家庭的で子どもも喜びそうなやさしい味。派手さはないが、心にしみる。

ラーメン+ライス

さらに、おすすめが「らーめんライス」。シンプルな醤油ラーメンに、炊きたてご飯の相性が抜群で、平凡さの中に唯一無二の“らしさ”が宿る。麻婆豆腐やレモンサワーで締める夜もあれば、麺と白米で静かに自分を癒す夜もある。どんな夜でも、この店は優しく受け止めてくれる。

百人町の深夜に灯り続けるこの一軒は、ラーメン屋でありながら、人生の余白を整える場所。昼でも深夜でもなく、“夜中”という時間にこそ本領を発揮する、唯一無二の存在である。

  • 店名:江南ラーメン(こうなんらーめん)
  • 住所:東京都新宿区百人町4-9-18
  • アクセス:JR大久保駅・新大久保駅より徒歩10分/西武新宿駅より徒歩12分
  • 営業時間:18:00~翌3:00
  • 定休日:日曜日

コラム:中華の湯気と、新宿の夜に

奈良から上京してすぐの頃、仕事もなく、金もなかった。暮れるのが怖い夕方、路地の中華屋で売られていた300円の弁当が、僕を今日まで連れてきた。熱く、濃く、やさしかった。中華は、腹を満たすだけの料理じゃない。自分を見失いそうな夜に、「食べろ」「生きろ」と言ってくる。

華心苑の五目そばは、熱と技の塊だった。岐阜屋では、誰かの肩越しにラーメンをすすり、唐安楼ではカレーに心を掴まれた。江南ラーメンのらーめんライスには、静かな“ただいま”があった。

中華の湯気は、人生の濁りを少しだけ晴らしてくれる。深夜の交差点、ふと見上げた赤い提灯に、まだ灯りがともっている。ああ、大丈夫だ。もう少しだけ、生きてみようと思えた。

新宿最強グルメマップ

新宿・思い出横丁のおすすめ名店

新宿のおすすめラーメン

新宿おすすめカレー

新宿おすすめ寿司・海鮮

新宿おすすめイタリアン

新宿うどんの名店

新宿おすすめランチ

新宿おすすめモーニング

新宿センタービルのグルメたち

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