食いだおれ白書

世界を食いだおれる。世界のグルメを紹介します。孤高のグルメです。

浪速の胃袋・黒門市場〜カレー、鮮魚、まぐろ、串焼き、大阪の食べ歩き天国

一皿で大阪を知る、ひと串で浪速を感じる。それが大阪・ミナミの中心、中央区日本橋に広がる黒門市場。

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東西南北へ“キ”の字を描くように伸びる約580メートルのアーケードには、鮮魚や精肉、青果から惣菜、飲食店まで150~160軒もの店が軒を連ね、食の香りと人の活気が市場全体を包み込んでいる。

黒門市場の歴史

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その歴史は江戸時代、文政年間(1818〜1831年)に遡る。浄土真宗の寺院・圓明寺の山門、通称「黒門」の前で鮮魚商人たちが市を開いたのが始まりで、当初は「圓明寺市場」と呼ばれていた。1912年に寺が延焼で移転したのち、門の名を受け継いで「黒門市場」と呼ばれるようになった。

1945年の大阪大空襲で一度は焼け野原となったが、戦後の復興を経て、やがて“浪速の台所”“大阪の胃袋”と称される存在となった。現在は観光客が食べ歩きを楽しむ人気スポットであると同時に、地元の食卓を支える生活市場としての役割も果たしている。

市場の醍醐味は何といっても新鮮な食材とその場で味わえるグルメだ。マグロの解体を目の前で見られる魚屋、旬の果物を豪快に盛ったカットフルーツ、揚げたてのコロッケや串カツ、香ばしいタコ焼きなど、大阪らしい食文化が目の前で広がる。

開店直後は地元の料理人や常連客が買い物をする姿が見られ、黒門市場本来の“台所”としての一面に触れられる。気になった惣菜を少しずつ味わえば、1日で大阪グルメの縮図を体験できる。英語や中国語に対応した店舗も多く、海外からの観光客も多い。

名物・イカの串焼き

名もなき店の見逃せない。鉄板の上には香ばしく焼かれる焼き鳥とイカ焼きが並び、通りを歩く人々の足を止めている。

串焼きは1本300円。タレは控えめであっさりとした味付けだが、噛みしめるほどに素材の旨味が広がる。特にイカの串焼きは絶品で、海鮮の醍醐味を存分に味わえる一本だ。これがたった300円で提供されていることに驚かされる。

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豪快な焼き台と活気ある声、立ちのぼる煙と香ばしい匂い。黒門市場らしい熱気に包まれながら頬張る串焼きは、値段以上の満足感を与えてくれる。まさに市場の醍醐味を体現した一品だ。

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黒門市場は、ただの買い物の場ではなく、大阪の食文化を肌で感じられる“食の旅”そのものである。

老舗カレー店「ニュー・ダルニー」

黒門市場の一角、堺筋の入り口に目を引くオレンジ色の看板を掲げる「ニュー・ダルニー」。堺筋から黒門市場に入ると、まず「ニューダルニー」の芳ばしい匂いがくる。そのあと神戸牛などの店を抜けると海鮮市場に変わる。

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「ダルニー」は、戦後間もない昭和22年(1947年)、先代が中国・大連の租界(外国人居留地)から引き揚げ、大阪・阿倍野で開業したのがはじまりだ。現在は2代目が店を継ぎ、黒門市場に移転した際に「ニュー・ダルニー」と名を改めた。今はご夫婦で切り盛りし、創業以来変わらぬ“なにわの素朴な味”を守り続けている。

外観は昭和の面影を色濃く残し、赤レンガ色の壁に大きなオレンジ色の庇看板が映える。市場の賑わいに馴染みながらも、長年通う常連客には「ここでしか食べられない味」として愛されている。

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看板メニューは「ビーフカレー(700円)」。辛さ一辺倒ではなく、具材を煮込みきったとろりとしたペーストが特徴で、具材は姿を消し、旨味がすべてカレーに溶け込んでいる。

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ひと口食べるとどこか懐かしく、食べ終えるころには体がじんわりと温まる、そんな一皿だ。

さらに、注文を受けてからフライヤーで揚げるサクサクの「ポークカツカレー(880円)」や「エビフライカレー(880円)」は、揚げ物好きにはたまらない人気メニューとなっている。

もうひとつ見逃せないのが「カレーうどん(780円)」。元々はまかない料理だったが、常連客から「それ食べたい」との声で定番メニューに加わった逸品だ。ビーフカレーに和風出汁を合わせ、注文ごとに一杯ずつ仕上げる。食べている最中は意外なほどあっさりとしているが、後からじんわり身体が熱くなり、口の中にカレーの余韻が残る。大阪といえば“うどん文化”だが、カレー専門店ならではの技が光る一杯となっている。

黒門市場を歩き疲れたときにふらりと立ち寄りたくなる「ニュー・ダルニー」。戦後から続く大阪カレーの老舗は、今も変わらぬ味わいで地元の人々と市場を訪れる人々を迎え続けている。

  • 住所:大阪市中央区日本橋2-12-16
  • 電話番号:06-6633-4080
  • 営業時間:9:00~16:00
  • 定休日:日曜・祝日

鮮魚名店「新魚栄」

黒門市場の中央、ひときわ目を引く青い看板を掲げる「新魚栄」。威勢のよい掛け声とともに並ぶ鮮魚や貝類は、70年以上にわたり市場で信頼を得てきた老舗の証だ。

創業は昭和24年(1949年)。店主の布生佳秀が生まれ育ったのは、三重県名張市。日本の滝百選・赤目四十八滝で知られる名水の地で、実家は料亭を営んでいた。幼少期から食材に親しみ、地元で淡水魚を扱う鮮魚店「魚栄」を開業したのがはじまりだ。その後大阪に進出し、黒門市場に「新魚栄」を構えた。以来、社長自らが全国を巡って選び抜いた魚介を提供し続けている。

外観は市場らしい赤い提灯と大きな「黒門」の提灯が連なるアーケード内にあり、観光客や地元の買い物客でいつも賑わう。店頭には寿司や刺身の看板が並び、焼き立ての海鮮をその場で頬張ることができる。

新魚栄のこだわりは「活うなぎ」と「炭火焼」。仕入れるうなぎはすべて活きたものに限定し、状態に応じて用途を変える徹底ぶり。炭火で焼き上げることで表面は香ばしく、中はふっくらとした旨味を閉じ込める。ガス焼きでは決して出せない味わいが、多くの客を魅了してきた。

焼き帆立の串焼き(500円)を注文。炭火で香ばしく焼かれた帆立は外は軽く焦げ目がつき、中はジューシーで甘みが広がる。ひと口で市場の活気と味の力強さが伝わってくる一品だ。店主自ら「座って食べていってください」と気さくに声をかけてくれるのも、この店の温かさを感じる瞬間である。

黒門市場の新魚栄は、ただ魚を買うだけの場所ではなく、“食のライブ”を楽しむ空間だ。名水の町にルーツを持つ老舗は、今もなお市場に新鮮な驚きと味を届けている。

  • 住所:大阪市中央区日本橋1-21-8
  • 電話:06-6636-3335
  • FAX:06-6636-5361
  • 営業時間:9:00~17:00(土曜日は「土用特価市」として9:00~14:00)
  • 定休日:日曜・祝日

名物まぐろ専門店「まぐろのエン時」

黒門市場のアーケードを歩くと、鮮やかなオレンジの看板が目を引く「まぐろのエン時」。市場らしい賑わいの中、常に観光客や地元客でにぎわうまぐろ専門店だ。

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創業は昭和2年(1927年)。長年にわたりまぐろを扱い続け、この道一筋で培った目利きで、その時期最高の鮮度と品質を誇るまぐろを仕入れている。看板商品は長崎産を中心とした「生本まぐろ」。ほかにもきはだ、めばちなど多彩な種類と部位を揃え、食べ比べができるのも魅力だ。

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外観は市場の一角に溶け込む赤い庇が印象的で、店頭には寿司やお造りがずらりと並ぶ。持ち帰りもできるが、店内には30席のイートインコーナーを完備し、その場で新鮮な寿司を楽しめる。昼前には満席になることも多く、市場を訪れるなら一度は立ち寄りたい店である。

名物は「大トロ寿司」。5貫で2,000〜2,900円と観光客にも手が届きやすく、その味は一度体験すると忘れられない。とろける脂と赤身の旨味が絶妙に重なり、口いっぱいに広がるまぐろの奥深さを感じられる。

中トロ三貫、ウニとろ、そしてあさりの味噌汁を注文。合計2,400円で豪華な朝ごはんとなった。銀座や赤坂の寿司の洗練された空気も良いが、黒門市場の露店と潮の匂いに囲まれ、ジャージ姿でも気軽に食べられる寿司には別格の魅力がある。市場のざわめきとともに味わう新鮮なまぐろは、忘れられない体験となる。

  • 住所:大阪市中央区日本橋1丁目21-7(黒門市場内)
  • アクセス:地下鉄日本橋駅より徒歩3分
  • TEL:06-6643-2889
  • 営業時間:9:00~売り切れ次第終了
  • 定休日:不定休

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