食いだおれ白書

世界を食いだおれる。世界のグルメを紹介します。孤高のグルメです。

大阪・難波「カフェ英國屋」〜喫茶文化を守り続ける高級カフェの世界

なんば駅周辺を歩いていると、1968年にできた「カフェストリート」と呼ばれる通りに出会う。御堂筋と戎橋商店街を結ぶ石畳の小道で、シックでおしゃれな店が所狭しと並び、歩いているだけでどこか異国を旅している気分になる。

その7年前にできた喫茶店で、現在も存在感を放つレンガ造りの建物がある。重厚な外観に「CAFÉ 英國屋」の文字が輝き、入口前には鮮やかな花壇と大きなメニュー看板が並ぶ。ここが、昭和36年(1961年)に誕生し、60年以上にわたって喫茶文化を守り続けてきた「カフェ英國屋」だ。

創業者・松本孝がアメリカで目の当たりにしたフードビジネスの発展。その衝撃を胸に、「自分は喫茶店に命を賭ける」と決意したのがすべての始まりだった。1961年に第1号店「ミカド」を大阪ミナミにオープン。続いて1966年には難波「エトワール」(現:英國屋)、1975年には心斎橋に「英國屋」1号店を開業。

「女性が着飾って行ける高級喫茶」という新しいコンセプトを掲げ、ゴージャスなインテリアや英国製の高級カップを採用し、多くの人々を惹きつけた。現在では大阪を中心に東京・名古屋・京都・神戸にも40店舗を展開。すべて直営にこだわり、ターミナルという街の要に出店することで、地域文化に根ざした喫茶空間を提供してきた。

店内に一歩足を踏み入れると、そこは都会の喧騒を忘れさせるクラシックな空間。アンティークの柱時計が時を刻み、蝋燭を模したウォールランプが優しく輝く。天井にはステンドグラス調の装飾が散りばめられ、濃い木目の柱や壁が高級感を演出する。

椅子に腰を沈めると、自然と背筋が伸び、時間の流れがゆっくりと変わるのを感じる。打ち合わせに訪れるビジネスマンもいれば、買い物帰りに甘いデザートを楽しむ女性、出勤前にコーヒーで一息つく常連客もいる。ここには、人生のあらゆる瞬間を包み込む懐の深さがある。

英國屋のおすすめは、「プレーンワッフル」だ。1,200円という価格にやや構えるかもしれない。しかし、ひと口頬張ればその価値に納得する。表面がサクサク、中はふんわりと焼き上げられ、蜂蜜の甘さが口の中に心地よく広がる。チェーン店だからと油断していたが、ひと口で虜になる味だ。深煎り豆を使ったカフェオレはミルクの香りと相まって、朝の気分を満たすのにぴったりだ。

そして忘れてはならないのがデザート。バナナや栗をのせたチョコレートパフェは、見た目にも華やかで、スプーンを入れるたびに異なる味と食感が楽しめる。フランス語で「完璧」を意味する「パルフェ」が語源だが、むしろその不完全さ、少し溶けかけたアイスや不揃いに積まれたフルーツこそが人を惹きつける。

コーヒーは深煎り豆を使用し、コクのある味わいが特徴。朝はカフェオレで一日のスタートを、午後には香り高いオリジナルブレンドティーでリフレッシュ。マリーゴールドの花やトロピカルフレーバーを感じる紅茶は、気分を華やかにしてくれる。

道頓堀という雑多な街並みに重なり、人生の愛おしさを映すようだ。映画を観たあとの余韻をパフェで締めくくる、そんな過ごし方もここならではの贅沢だ。

英國屋は単なる「喫茶店」ではない。ここは街の情報発信基地であり、文化を育てる場所だ。昭和から令和へと時代が変わっても、変わらずそこにあり続ける存在。道頓堀の雑踏に溶け込みながら、訪れる人々に小さな安らぎと贅沢を与え続けている。

難波を歩くなら、ぜひ立ち寄ってほしい。香り高いコーヒーを片手に、クラシカルな空間で過ごすひとときは、旅の思い出をより濃く、深いものにしてくれる。

カフェ英國屋 マルイ北通り CAFÉ STREET(難波本社)

  • 住所:大阪府大阪市中央区難波3丁目7-10
  • 電話番号:06-6633-5360
  • 営業時間:8:30〜22:00
  • モーニング:500円~
  • 定休日:元旦(1月1日休業)
  • 年末年始の特別営業
    • 12月31日 9:00〜20:00
    • 1月2日 9:00〜21:00
    • 1月3日 9:00〜21:00
    • ランチは1月4日から提供開始
  • 会議室(3階)
    • 利用条件:5名様より予約可能
    • 利用時間:2時間制
    • 料金:お一人500円
    • 予約方法:電話(06-6633-5360)

道頓堀の名店

大阪ラーメンの顔

法善寺横丁の喫茶店

ぬくもりを感じるアイス

130円の大阪のご馳走

やさしき出汁の記憶

みっくすじゅーすのメロディ

大阪の王将中華

大阪ブラックらーめん

大阪のナポリタン

難波の立ち食いうどん

大阪のきつねうどん

昭和が香る大阪の喫茶店

浪速とんこつの伝道師

浪速とんこつの華

道頓堀のお好み焼き

大阪たこ焼きの元祖・頂点

上本町のピロシキ

法善寺横丁の顔

浪速の胃袋

道具屋筋うどん

青春の"ちゃあしゅう"

食の憶い出を綴ったエッセイを出版しました!

月とクレープ。

月とクレープ。Amazon  Kindle

『月とクレープ。』に寄せられたコメント

美味しいご飯を食べるとお腹だけではなく心も満たされる。幸せな気持ちで心をいっぱいにしてくれる、そんな作品。

過去を振り返って嬉しかったとき、辛かったときを思い出すと、そこには一生忘れられない「食」の思い出があることがある。著者にとってのそんな瞬間を切り取った本作は、自分の中に眠っていた「食」の記憶も思い出させてくれる。

{{comments}}