食いだおれ白書

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おにぎり専門店 EIGHT BALL〜打順も味もド真ん中、名店のにぎり、甲子園系おにぎり現る

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神戸市灘区、岩屋駅前。「EIGHT BALL(エイトボール)」という名前の小さなおにぎり専門店がある。秋田県に本社を置く株式会社RICEBALLが運営し、2024年にオープンしたばかりの“ルーキー”だ。甲子園口にも系列店がある。

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店名の「EIGHT BALL」は、甲子園球場のバックネット裏に通じる“8号門”にちなんだもの。甲子園口の店には、今年の春のセンバツ決勝で激突した横浜と智辯和歌山、両校のユニフォームが飾られているという。野球好きなら、その意味と熱量はすぐに伝わる。

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実際、店主は神宮球場や秋田まで足を運ぶほどの熱烈的な高校野球ファン。店内のメニューも、スコアボードを模したデザインになっている。

打順を見ると、4番が「鶏五目」と「鶏そぼろ」。渋いオーダーだ。スラッガーではなく、きちんと犠牲フライを打つ打点重視の打者を主砲に置いている。

おにぎりの顔である、「鮭」が7番、「明太子」が6番というのも面白い。このオーダーを見るだけで、店主と野球談義をしたくなる。

2025年8月5日。全国高校野球選手権の開幕日。この日、店にいたのは女性スタッフひとりだけ。店主は甲子園に行っている。やっぱりバックネット裏から観戦。おにぎり屋が休まず開店しつつ、店主が甲子園にいる。この店、すでにチームワークができている。

メニューは全24種類。この日は「おにぎりセット」を注文。おにぎり2個に、だし巻き卵(2個)か唐揚げ(4個)を選べて、700円。うん、スタメンと代打、リリーフがしっかり揃っている。

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海の見える兵庫県立美術館のベンチへ向かい、朝ごはんとした。まずは鮭おにぎりから。サイズは小ぶり。だが、ひと口食べてわかる。米粒が驚くほど大きい。あとで調べてみると、2mm以上の大粒に選別した秋田県産「あきたこまち」を使用。子どもでも球場のスタンドで片手に持って食べやすいサイズと粒立ち。

“球場メシの理想形”を甲子園から離れた店が体現している。球場内で販売できたら、たちどころに名物になる。

握りはしっかり、食感はふわっとしていて、まるで綿菓子。塩気が効いていて、どこか漁師町の朝飯のようでもあり、給食のような懐かしさもある。豪華ではない。けれど、心に残る。試合に勝った日より、負けた日の帰り道で食べたら余計に沁みる。

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だし巻き卵は、しっとりとした口当たりに、魚介の旨みがじんわりと染みている。海を包む内野守備のようだ。静かだが、確実。添えられた沢庵が、味のブリッジ役となって全体を整えている。6-4-3のダブルプレーが完成。

明太子のおにぎりは、やや固めに握られている。中身のパンチ力に負けないよう、外側でしっかり支えるスタイルだ。その微妙な“ムラ”こそが、手作りならではの醍醐味。球速や変化球に、毎回少しずつ違いがあるのと同じように、握りにも“人”が出る。

この日食べたものに共通していたのは、派手さよりも、丁寧さと情熱。野球と同じく、見えないところにこそ、美しさが宿る。

おにぎり専門店 EIGHT BALLの情報

  • 店名:EIGHT BALL 
  • 住所:兵庫県神戸市灘区岩屋中町5-2-29
  • アクセス:阪神電鉄岩屋駅より徒歩1分
  • 営業時間、平日:7時30分~16時、土日祝:9時~16時
  • 定休日:無休

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