
なんば駅周辺をぶらぶら歩いていると、「カフェストリート」と呼ばれる通りに出会う。御堂筋と戎橋商店街を結ぶ石畳の小道で、シックでおしゃれな店が所狭しと並び、歩いているだけでどこか異国を旅している気分になる。

1968年創業の老舗『Café The Plant Room』が始まりらしく、フランス映画の話に花を咲かせるのが似合う、まるでパリを思わせる雰囲気だ。

その一角でひときわ目を引くのが「レコード喫茶 グラフィティ」。外観から内装まで凝りに凝った店構えで、エルヴィスやフランク・シナトラなどオールディーズのジャケットが屏風のように並び、場末感と華やかさが同居する独特の空気を放つ。赤い椅子が印象的で、思わず上映されていいる映画『バック・トゥ・ザ・フューチャーII』に見入ってしまうような、どこかノスタルジックでポップな世界が広がる。

店内には307枚以上のレコードと2,000曲を超える音源が揃い、DENONやTechnicsのターンテーブル、McIntosh MC240の真空管アンプ、Avantgarde UNOスピーカーといった本格的な機材から流れる音はまさに「タイムマシン」のよう。音楽に耳を傾けていると、気づけば何時間でも居座ってしまう。

ドリンクの看板は、大阪名物「みっくすじゅーす」。大阪には数多くのミックスジュースが存在するが、グラフィティの一杯は格別。大阪でいちばん美味しいと胸を張って言える。果物の甘みと酸味が絶妙に調和し、ひと口飲めば瑞々しい果実のハーモニーが口いっぱいに広がる。アナログレコードから流れる多彩な音色がひとつの楽曲としてまとまる瞬間。
この店では「ミックスジュース」ではなく、あえて「みっくすじゅーす」と平仮名で表記している。その響きがどこか懐かしく、昭和の喫茶文化の情緒を漂わせる。グラスに注がれた淡い色合いの飲み物を手にすると、レコードの回転が時を遡らせ、子どもの頃に味わった夏の午後の記憶を呼び覚ます。

冷たいコーヒーの滋味深さも魅力的だが、この店に来るならやはり「みっくすじゅーす」。レコードの温かな音に身を委ねながら味わうその一杯は、ただの飲み物ではなく、この店を象徴する音楽的な体験のひとつ。夏の定番であり、訪れるたびに心を潤す永遠の名曲のような存在。「いつも心に、みっくすじゅーす」と言いたくなる。

座席は約47席、個室も15席ほどあり、ひとりでじっくり音に浸るのもよし、仲間と語らうのもよし。ライブや貸切イベントにも対応しており、音楽を軸に人と人が交わる空間でもある。

大阪・なんばの喧騒を抜けた先に広がる、懐かしくも新しい音楽の楽園。レコード喫茶グラフィティは、古き良き日の喫茶文化とアナログレコードの魅力を再発見できる特別な一軒。オールディーズと果実の旋律、レコードが回る、みっくすじゅーすが光る。
店名:レコード喫茶 グラフィティ
住所:〒542-0076 大阪市中央区難波3-7-4 南華ビル3F
TEL:06-6631-5885
アクセス
・大阪メトロ御堂筋線「なんば駅」徒歩2分
・南海電鉄「なんば駅」徒歩5分
・近鉄難波線「大阪難波駅」徒歩5分
営業時間
金・土:14:00~20:00
日 :12:00~18:00
(祝日・月~木は基本休業、イベント時は営業あり)
定休日:月~木曜(イベント時は営業)
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『月とクレープ。』に寄せられたコメント
美味しいご飯を食べるとお腹だけではなく心も満たされる。幸せな気持ちで心をいっぱいにしてくれる、そんな作品。
過去を振り返って嬉しかったとき、辛かったときを思い出すと、そこには一生忘れられない「食」の思い出があることがある。著者にとってのそんな瞬間を切り取った本作は、自分の中に眠っていた「食」の記憶も思い出させてくれる。