食いだおれ白書

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清澄白河のモダン中華『O2』アメイジング・グレイスの時間

清澄白河のモダン中華『 O2』

2018年3月オープンのモダン中華『 O2(オーツー)』

シェフ大津光太郎さんが故郷の清澄白河で「地域に愛される店」を目指し、本格的な中華料理を提供。中華料理とワインのマリアージュも力を入れている。

清澄白河のモダン中華『 O2』

店名の「O2(オーツー)」はシェフ大津さんの名前から。清澄白河のモダン中華『 O2』外観も内観も黒が基調。シェフは映画『スターウォーズ』の大ファンで、お手洗いには音姫の代わりにダースベーダーの曲が流れている。

清澄白河のモダン中華『 O2』

こんなステキなお店で文章教室の送別会(卒業式)を開いてくださった。2019年11月23日から5年間、通い続けた大切な場所、約束の場所。

コロナ禍で教室が使えないときはzoomや電話でも続けてくださった。ステキな文章仲間と共に、言葉と真剣に向き合った。教会で讃美歌を歌うような、魂が浄化される場所。恵比寿には、いつも魂の澄む音と声があった。

6品のコース。料理の前に、文章の先生が、僕に卒業の贈る言葉を書いてくださった。さらに生徒の皆さん7人からも僕への花向けの文章を書いてくださった。胸がいっぱいで涙を堪えるのに必死で、不覚にも料理の味を楽しむ余裕がなかった。2025年4月13日は生涯、忘れられない夕暮れの日曜になった。

清澄白河のモダン中華『 O2』アメイジング・グレイスの時間

スパークリングワインで始まったコース。自然派のワインが並ぶが、そのどれもが初めての味だった。ピッコロ型のグラスには『O2』の刻印。ワインを飲みながら、ふと文章教室にいるような感覚になった。スイーツのように冷静な眼で文章を見つめてくれ、その指摘が甘味のように僕を包んでくれる。そしてミルクティのような、あったかい仲間に囲まれる。そんな場所だった。

清澄白河のモダン中華『 O2』アメイジング・グレイスの時間

Appetizer(前菜)は、ホタルイカやホワイトアスパラ。春の恵みが、僕の門出を祝ってくれる。

清澄白河のモダン中華『O2』アメイジング・グレイスの時間

Soupは、グリンピースとアサリのスープ。O2のスペシャリテ。茶室でいただく抹茶のように澄んだ味わい。前職の女性から「あなたは赤ちゃんより無邪気。あなたは会社の悪い夢を食べてくれる獏なの」と言ってもらったことがある。そのときの言葉と、このスープは、どこかでつながっていた。苦しいものを、やさしく包み込む味がした。

清澄白河のモダン中華『 O2』

文章教室の先生から言葉。「教室の出発点はきみにあった。きみが言い出さなければ始まらなかったし、続かなかった。きみは、みんなの先輩であると同時に、みんなの後輩でもあった。相手が新入生でも、きみは後輩のように振る舞った。佳き先輩であることは簡単。誰に対しても佳き後輩でいることは何大抵のことではない。佳き先輩だから、佳き後輩でいられる」

清澄白河のモダン中華『O2』アメイジング・グレイスの時間

Dim sum(ディムサム)は中国料理の点心(料理の軽食や間食)。桜海老のシュリンプトースト。みかんが刷り込まれて爽やかさに包まれる。口の中で春がはじけた。O2は空間も器も黒の世界。スタウォーズの宇宙であり、魂を込めて磨いた料理は「一皿の宇宙」になる。

清澄白河のモダン中華『O2』アメイジング・グレイスの時間

続いてのDim sum(点心)は、白玉団子 菊のソース。中には豚肉、筍をソースにしている。なんて贅沢なプリマヴェーラ。味は淡い。その淡さが力強い。独り文筆活動をしていると無力さに苛まれることが多い。でも本当は「微力」なだけ。「微」には「美」が隠れていて、いつか花になる。

清澄白河のモダン中華『 O2』

文章教室は、言葉に力はあるけど圧力がない。呼吸がキレイ。言葉を楽器にして文章を奏でる。まだまだ自分の文章も変われると元気をもらえた。

清澄白河のモダン中華『O2』アメイジング・グレイスの時間

それぞれが違う歌詞(文章)を合唱するゴスペルのような場所。先生だけでなく、文章仲間と出逢えたことが何よりの財産。

清澄白河のモダン中華『 O2』

8日後にオランダに行く予定が、最も観たかったゴッホ美術館のチケットが2週間先まで売り切れ。「オランダ行き、キャンセルしようと思ってるんです」と話すと、女性の方が「絶対に行ったほうがいいです。行くべきです。YAMATOさんの将来の糧になります。行ってください」と母親のように背中を押してくださった。文章教室の仲間はソウルメイトだ。

清澄白河のモダン中華『 O2』

Main、本日のお肉料理。今までの淡い味から転調。かなり塩気が強い。でも優しい。先生から言ってもらった。「生徒が、先生を創る。ストレスを与えない緊張感。それが、きみだ。頂は、まだ先にある」

文章に迷ったとき、先生の言葉に救われた。

「あなた自身であれ」

春の夜の黒い宇宙で、僕は少しだけ、呼吸を整えた。

これからも、先生の言葉を抱えて、文章と向き合っていく。

深く、一途に。

近くにある東京都現代美術館MOT

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